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日本の人口がついに減少 日本らしさの終わりの始まり?

time 2016/02/26

日本の人口がついに減少 日本らしさの終わりの始まり?

 昨年の国勢調査の結果、日本の人口が減少に転じたことがわかりました。
 産経新聞は号外で報じていますが、果たして号外にするほどのものなのか。
 分かり切っていた未来の到来が、数字の上ではっきりしただけのことです。

 高齢化により自然減が増え、少子化により自然増が減っている。
 誰にだって、いずれは人口が減少に転じることは予想できます。
 要は、人口が減少するとどうなっていくのか?が問題なのです。

 人口減少を、少子高齢化の問題だと考えている方はいませんか?
 それは「原因」であって、結果から発生する問題ではありません。
 では、人口減少によって発生する問題とは何なのか?
 そこのところを掘り下げていきましょう。

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人口減少は悪いことなのか?

 日本の人口が減っていく、というのは非常に衝撃的なニュースです。
 2014年に日本創生会議が発表した「消滅可能性都市」は話題になりました。
 2040年には、日本の地方自治体の半分は「消滅」するというのですから。

 しかし、その一方で人口減少を良いことと捉える考え方もあります。
 かつては大物政治家が「日本の適正人口は6000万人」と発言したのだとか。
 何から推計したかは不明ですが、日本の人口密度が高いのは確かです。
 ミニ国家や小さな島国を除けば、トップクラスの人口密度です。

 今の世界の不安要素、代表的な問題をいくつか挙げてみましょう。
 地球温暖化、資源の枯渇、食料不足、難民問題、経済格差、などなど。
 人口減少によって、改善される不安や問題は多くあることがわかります。

 小さな話をしても、日本の通勤電車は混み過ぎる、家は狭すぎる。
 これらが、日本の人口減少によって改善される可能性があるわけです。

 では、なぜ人口減少を「危機」や「不安」として報じられるのか。
 それは日本の仕組みに問題が発生するからです。

人口増加を前提としたシステムが崩壊する?

 人口減少で危機が訪れるシステムといって一番に浮かぶのは年金でしょう。
 人口減少は若年層の減少を意味しますから、年金システムには致命的です。
 しかし、人口減少で起こるのは年金問題ではありません。

 日本の経済は人口ありきの仕組みになっています。
 国内市場に一定の規模があることから、内需が強い傾向があります。

 例えば、日本の携帯電話は「ガラパゴス」と呼ぶのが流行りました。
 閉鎖的な環境で独自進化した、ガラパゴス諸島の生態系に例えた言葉です。
 「ガラパゴス」が成立するのは、日本市場が巨大であるからです。

 仮に日本市場が小さければ、企業は日本向けの製品だけでは儲かりません。
 海外市場へ出向いて商品を販売する戦略にしないと、成り立ちません。
 その結果、どの国でどんな人にも買ってもらえる製品を作ることになります。

 日本の人口減少は、買い手が減ることで市場縮小と同義になります。
 それに対応するには、経済戦略の転換、産業構造の転換が必要になります。

日本の価値観も薄れていく可能性も?

 国内市場が縮小すれば、海外との経済連携を密になるのは当然です。
 その結果として、日本の商慣習は失われ、価値観が薄れる可能性もあります。

 例えば、「お客様は神様」という日本独自の価値観があります。
 お客様に満足して頂こうと、きめ細かいサービスを提供するのが日本式です。
 海外のサービスが「価格」と連動しているのは、海外旅行でも感じ取れます。
 日本のように、安い買い物客でも丁重に扱う文化を持つ国は、少ないのです。

 これが海外との経済連携が密になることで失われていく可能性があります。
 製品にしても、ユーザーの欲しい物を拾って付加していくのが日本の良さ。
 その結果が、日本市場でしか売れない「ガラパゴス」を誕生させました。

 これが多種多様な国・民族に売るのであれば、さらに多様な製品になるのか?
 それに耐えられる資金力を持った企業など、世界のどこにもありません。
 逆に、世界の誰でも使える製品とは、平凡で王道を外れない製品となります。
 日本人の細かい要望は「少数意見」となり、かき消されてしまうでしょう。

日本は市場の国際化を受け入れられるか?

 そうはいっても、世界各国は日本より遥かに外需に依存しています。
 他の国に出来るのだから、日本にだって出来るはずなのです。
 ですから、致命的な「危機」や「不安」といわけではありません。
 過渡期の混乱に備えておきなさい、という警告ということです。

 先進国の経済規模で国際化市場といえば、EUが該当します。
 しかし、EUが経済統合するにも大変な道のりがありました。

 EUの前身はEC、その前進はEECであり1957年に成立しました。
 その後、冷戦終結から東欧の加盟など変遷を遂げて現在に至ります。
 そして今でも英国離脱の可能性など、完成と言える段階に達していません。

 日本が国際化すれば、その最たる相手は中国となるのでしょう。
 「東アジア共同体」という夢物語が息を吹き返してきそうです。
 中国とは文化的には近しいですが、国体において価値感が違いすぎます。

 無理ではないけれど、厳しい道のりになるのではないでしょうか。

2040年の日本は?

 2040年には日本の人口は1億人を割り込むという推計もあります。
 24年後、まだだ現役世代のビジネスパーソンも多いことでしょう。
 小さな子供も、社会人として羽ばたく時期になります。

 その時、就職先が上海というのは普通になっているのかも。
 日本企業の多くは多国籍企業となり、中小企業は潰れているのかも。
 移民や難民によって、治安の悪い「普通の国」になっているのかも。

 そんな未来に向かって、本格的に進み始めましたよ、と。
 そういう意図なら、産経新聞が号外を出したのも頷けます。

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