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「4k番組は録画禁止」で視聴率は上がるのか?

time 2016/01/14

「4k番組は録画禁止」で視聴率は上がるのか?

 民法各社で「無料放送の録画禁止」が本気で議論されているというニュース。
 現実のものとなれば、テレビ視聴スタイルは大きく変わることになります。

 テレビ局が無料放送の録画禁止を唱える背景には何があるのでしょう。
 ひとつは、ネット配信への誘導であることは間違いありません。
 どの局もネットコンテンツの拡充は著しいものがあります。

 もうひとつの意図は、視聴率アップです。
 「無料で観たいのなら録画ではなく放送を見ろ」ということです。
 しかし、そんなにうまくいくのでしょうか?
 むしろ、テレビ離れを進めかねない天下の愚策となるのでしょうか。

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「録画禁止」に正当性はあるのか?

 録画禁止はビデオの登場から長く議論されてきたものです。
 現在は家庭内での私的利用ということで容認されている状況です。

 ビデオからDVDやBD録画が一般的となり、コピーワンスが導入されました。
 理由は「映像が劣化せず高画質のままだから」という納得のできないもの。
 テレビ局はずっと「録画」を敵視しており、機会を狙っていました。

 放送技術も変わり、送出する側で「録画禁止」を実現可能となりました。
 ネット配信が充実し、見逃した番組を視聴する環境も整いました。
 いよいよ、長年の難敵を打ちのめす機会が訪れたというわけです。

 「録画禁止」を視聴者に求めるものではありません。
 放送する側が技術的に「録画禁止」にするというものです。
 法的に問題はなく、サービスに制限が加わるだけのことなのです。

「録画禁止」で視聴率は上がるのか?

 視聴者からすれば、無料サービスの質が下がるだけのことです。
 本来は視聴者側にどうこういえるものはありません。
 テレビ局に金を払っているのはスポンサーなのですから。

 そして、録画機器はスポンサー料の根拠となるCMをスキップできます。
 「録画禁止」は顧客満足度を高めるために当然の措置なのです。
 繰り返しますが、テレビ局の顧客はスポンサーなのです。

 ただ、CM枠の料金は視聴率によって左右されます。
 その視聴率を左右するのは、テレビの前の視聴者達です。
 「録画禁止」で視聴率が下がったのでは、顧客満足度は上がりません。

 現在の視聴率には録画視聴は含まれていません。
 CMスキップが可能である録画視聴は、視聴率に含める理由がないのです。
 視聴率とは番組ではなく「CMを見た人数」を知るためのものだからです。

 ターゲットになるのは、録画視聴が常態化している人です。
 放送時間に視聴できても、録画しておいて後でゆっくりと観る人達。
 中には「CMを飛ばせるから」録画視聴を選択している人もいるでしょう。

 同じ視聴生活を続けるなら、ネット配信で金を払うしかありません。
 そうなれば、放送時間に視聴するようになり、視聴率は高まるのです。

 彼らが録画視聴できないなら観ない、となると思惑は外れます。
 つまり、番組コンテンツがいかに優れているかが重要なんですね。
 テレビの視聴率問題は、結局そこに帰結するわけです。

次に来るのは「違法配信の視聴根絶」?

 「録画禁止」が成立すれば、次は最大の敵「違法配信」です。
 「録画禁止」で視聴者が「違法配信」に流れては意味がありません。

 違法配信の根絶には、国際的なルールが必要になり簡単にはいきません。
 海外サーバーから配信すれば、日本の国内法は適用されないからです。
 なので、視聴者側にモラル向上を訴えることになります。
 あるいは、「違法視聴の刑罰化」に及ぶかも知れません。

 こうして、新しい時代のテレビの視聴スタイルが確立されるのです。
 「録画禁止」で見逃した人はネット配信を有料で視聴する。
 要は「録画視聴」の視聴料をテレビ局が受け取る仕組みです。

テレビ局は敵が多過ぎ?

 テレビ局の言い分は筋が通っています。
 制作したコンテンツを視聴するなら対価を払って欲しいということです。
 放送時間に視聴すれば「CM視聴」という対価を払います。
 録画視聴では、テレビ局にメリットがなにもないのですから。

 ところが、テレビ局は現在はとても嫌われている存在です。
 ネット上では、視聴率の低さに歓喜する人達であふれています。
 「悪者」には何をしてもいいという、気運があっても不思議はありません。

 そうなると、「録画禁止」破りの機器が出回る可能性もあります。
 すると、テレビ局は対策を打ち、また対策破りの機器が登場する。
 そんないたちごっこが展開される可能性もあります。

 「録画禁止」は実行すれば完成ではないということです。
 禁止状態の維持に、またコストが掛かることになりかねません。

視聴者は意識改革が必要?

 番組コンテンツの視聴に対価が必要なことは、理解できると思います。
 「CMスキップ」により、対価なく視聴できる現在が異常なのかも知れません。

 ビデオ・DVDや、ネット配信にもテレビ局はお金を払っています。
 出演者や脚本家・原作者などにも「二次利用著作権料」を払っているのです。
 テレビ局も、番組コンテンツの使い回しには対価を払っています。

 そう考えれば「録画禁止」は正しい状態へ戻すための技術ともいえます。
 個人的には視聴者はこれを前向きに受け入れるべきだと思います。
 そして、むしろこれまで対価なく録画視聴できたことに感謝すべきです。

 ただ、実現するならネット配信の料金をもう少し下げて欲しいところです。
 それも登録者が増えることで、値下げが可能になるのかも知れませんね。

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