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日本の「豊かさ」20位 「豊かさ」ってナンだ?

time 2015/12/15

日本の「豊かさ」20位 「豊かさ」ってナンだ?

 国連開発計画(UNDP)は「人間開発報告書」を発表しました。
 国民生活の「豊かさ」で日本はワンランクダウンの20位となりました。

 トップ3はノルウェー、オーストラリア、スイスの順。
 アジアでは11位シンガポール、12位香港、17位韓国に次いで4番目です。

 188ヶ国中の20位ですから、日本は世界的には「豊かな国」なのでしょう。
 しかし、GDP世界3位という経済大国でありながら20位。
 上位には経済破綻したアイスランドや、ミニ国家のリヒテンシュタインも。

 「豊かさ」の定義は数あるとはいえ、国連が定める「豊かさ」とは?

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人間開発報告書の「豊かさ」とは?

 人間開発計画書の「豊かさ」とはアンケートによるものではありません。
 セクションごとに数値かし、合計値の大小で「豊かさ」を決めています。

 「幸福度」ランキングのようなアンケート式だと国民性が出てしまいます。
 日本人は謙虚を美徳とし幸福度を低めに答える、といったものです。

 人間開発報告書の「豊かさ」は5つのセクションからなります。

 ・人間開発指数(HDI)
 ・不平等調整済み人間開発指数(IHDI)
 ・ジェンダー開発指数(GDI)
 ・ジェンダー不平等指数(GII)
 ・多次元貧困指数(MPI)

 「開発」の定義がわからないと、まったく理解できない言葉です。
 順番に解説していきましょう。

人間開発指数は、長寿、教育、所得

 人間開発指数は「人間開発報告書」の主要なセクションです。
 その値は、長寿、知識へのアクセス、生活水準からなります。

 平均寿命が長い国は「豊か」、教育が行き届いている国は「豊か」
 そして、国民総所得が高い国は「豊か」であるとされています。
 これが国連開発計画の定義する「豊かさ」の指標だということです。

 日本は平均寿命は世界最高ランクですが、教育と所得が足りません。
 それが20位に甘んじている理由です。

 所得は長期のデフレから脱却できていませんから理解できます。
 しかし、教育が他の最高位グループに比べて劣っているとは意外です。
 大学全入時代とはなんだったのでしょうか。

不平等調整済み人間開発指数は、格差

 人ゲ開発指数は平均値により求められます。
 しかし、その裏には必ず不平等による格差があります。
 それを人間開発指数から「割引く」のが不平等調整済み人間開発指数です。

 日本は最高位グループの中で、平均より少し格差が大きいです。
 とはいえ、国家規模が大きくなれば格差が大きくなるのは必然です。
 同程度の規模の国の中では、格差が低い方に入ります。

 国連開発計画は、格差は「豊かさ」を損なわせる存在としています。
 確かに、一握りの大富豪が平均を高めれば、実態と違う結果になります。

男女平等であるか、も「豊かさ」の基準

 ジェンダー開発指数は、まず人間開発指数を男女別に算出ます。
 それを、男女差の比率としたものです。
 もちろん、男女差がないほど「豊か」であるとされています。

 日本は男尊女卑がいまでも残る差別国家だと糾弾されています。
 女性の方が長寿ですが、男性の方が進学率は高く、収入も高いのです。
 その値は20位にしては低めとなってしまっています。

 ジェンダー不平等指数は妊産婦死亡率と15~19歳の出生数、国会議員の男女比、中等教育以上の履修率、労働市場参加率によります。

 15~19歳の出生数というのは、高いほど「豊ではない」とされています。
 国連開発計画は、思春期女性の出産はリスクが大きいとしています。
 女性は法的に16歳から結婚できる日本とは、考え方にずれがある部分です。

 ちなみに、日本の女性国会議員はやはり少ないようです。

多次元貧困指数は世帯としての「豊かさ」

 名前からすると、一番意味がわからない多次元貧困指数。
 要するに、世代ごとの教育や生活水準による指標です。

 世帯の「稼ぎ頭」の収入が低ければ、世帯全体が貧困になります。
 個々の収入が低くても世帯内で複数人に収入があれば貧困ではない。
 そのギャップを埋めるための指標ということになります。

 この指標はまだ設けられてから5年しから経っていません。
 そのためデータが取れる国が少ないのが現状です。

「豊かさ」の定義は納得できた?

 国連開発計画の「豊かさ」とは、長寿、教育、収入、平等、総中流。
 こう書くと、まるで「一億総中流」といわれたかつての日本のようです。

 ただ「豊かさ」に精神的なものは含まれていませんでした。
 例えば、信教の自由や、表現の自由が束縛されている国もあります。
 宗教家や芸術家などにとっては、「豊か」とはいいづらい国でしょう。

 とはいえ、精神面が入り込むと「数値化」するのは非常に難しい。
 ばっさりと数値化して客観性を持たせないと調査の意味もありません。
 日本人的「豊かさ」と比べて納得いく「定義」だったでしょうか。

 ここが納得できずに、ただ「日本20位」に反応するのでは哀しいです。
 報道も煽るかのように、中身よりも順位ばかりを強調しています。
 惑わされずに、日本的な「豊かさ」を追求して欲しいところです。

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