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「あかつき」金星軌道に投入成功 知っておくべき金星の「特別」なこと

time 2015/12/10

「あかつき」金星軌道に投入成功 知っておくべき金星の「特別」なこと

 金星探査機「あかつき」が金星軌道への投入に成功した発表されました。
 2010年にメインエンジンの故障で軌道投入を断念してから5年。
 太陽の周りを5周廻って、再び訪れたチャンスをものにしました。

 本来は1秒程度しか射出しない姿勢制御エンジンを連続射出する「裏技」
 それで金星軌道への投入を成功させるのですから見事なものです。
 「はやぶさ」のリカバリー性能といい、日本の技術の汎用性は素晴らしい。

 来年から本格的な金星探査が開始されるとのことです。
 この機会に、金星について事前学習しておきましょう。

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公転周期よりも長い自転周期とは?

 金星は大きさ、密度、が地球に近く「姉妹惑星」と呼ばれています。
 地球のひとつ内側を周る金星は、夜空で一番明るい天体です。
 もっとも、夕暮れか夜明けにしか見えないので「夜空」かは微妙ですが。

 その金星の一番の特徴は、公転周期よりも長い自転周期です。
 つまり、一日の長さが一年よりも長いということです。
 自転周期は243日、公転周期が225日で、ゆっくりと自転しています。

 さらに、自転方向が公転方向とは逆方向となっています。
 そのため、昼と夜が58日ごとに訪れ、昼夜が2周廻って1日になります。
 1日は1年より長く、1日に昼と夜が2回訪れるのが、金星なのです。

姉妹惑星なのに移住計画が出ないのは?

 地球外移住計画といえば、月と火星が一番の候補に挙げられます。
 テラフォーミングといえば、火星しか可能性がないとさえ言われます。
 なぜ、「姉妹惑星」である金星は移住先の候補にならないのでしょうか。

 その過酷な環境が移住の難易度を高めているからに他なりません。
 まず、長い昼時間と二酸化炭素のせいで地表の温度は470℃に昇ります。
 二酸化炭素の温室効果のせいで、さらに内側にある水星より暑いのです。

 さらに気圧は90気圧になります。
 これは、潜水艦の最大深度での水圧を上回る圧力です。
 金星に降り立つには、最新の潜水艦以上の耐圧装備が必要です。

 温度が高くて、圧力も高い。
 太陽エネルギーを受け過ぎの天体で、とても人が住めたものではありません。

金星人の可能性は限りなく低い

 金星には地表に水があったとされています。
 しかし、灼熱の環境により蒸発し、宇宙空間に散ってしまいました。

 火山噴火や溶岩流出の痕跡も発見されています。
 火山の存在は生命誕生の重要な要素とされており、可能性を示唆しています。
 しかし、肝心の水がなければ地球型の生命体は誕生できないのです。

 もしも、地殻内部に水の存在が確認されることがあれば状況は変わります。
 火山が存在し、水も存在し、大気は二酸化炭素となれば条件は揃います。
 その辺りは「あかつき」の探査に期待したいところです。

 とはいえ、金星には地磁気がないこともわかっています。
 地球の地磁気は強烈な宇宙線から生命を守ってくれています。
 それがない金星では、生命が存在しても想像できる形態とは限りません。

いまだ謎の「金星の雪」とは?

 金星にはマクスウェル山があり、その標高は11キロに及びます。
 地球の最高点がエベレストで9キロ程ですから、それ以上の高度です。

 金星の標高の高い場所にはレーダー反射波の強い場所が見られます。
 それを「金星の雪」と呼んでいるのです。

 しかし、地球と違って金星は気温が400℃以上になる環境です。
 雪が存在するわけもなく、水も存在しない乾燥した星とみられています。
 そのため「金星の雪」は反射率の高い金属ではないかと予想されています。

 硫化物の「雪」である可能性が示唆されていますが定かではありません。
 この謎はいまだに解明されず、「あかつき」に期待したいところです。

金星への移住計画も実はある?

 地球の隣の惑星といえば、金星と火星です。
 大きさは地球とほぼ同じなのが金星、地球の半分程度なのが火星です。
 地球からの距離でいえば、金星の方が火星よりも遥かに近いのです。

 地表面は高温高圧でとても人間が住めたものではありません。
 しかし、上空に行けば温度も圧力も下がるのはどの星でも変わりません。
 金星上空50kmでは、気温は75℃にまで下がるとみられています。

 地磁気がないから宇宙線に晒される危険も考慮しなければなりません。
 しかし、金星には分厚いオゾン層があり、宇宙線から守ってくれます。
 NASAは、金星の高空に浮かぶ探査基地を計画しています。
 さらに、ステーションを拡大して移住先候補にもしようとしています。

 空中都市、浮上都市となれば、SF心をくすぐられます。
 高い気圧により、地球よりも浮力も高いはずですから安全そうです。

 「あかつき」にはいろいろな可能性を探査してもらいたいです。
 もしかしたら、重大な新発見があるかも知れません。

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