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フィンランドでベーシックインカム導入 社会保障は停止するとどうなる?

time 2015/12/08

フィンランドでベーシックインカム導入 社会保障は停止するとどうなる?

 フィンランドが来年にもベーシックインカムの導入する見込みです。
 決定すれば、国家としてベーシックインカムを導入するのは初めてのこと。
 その新しいシステムが現実的に運用可能なのか、世界中が注目しています。

 フィンランド政府は全国民に毎月約11万円を無課税で支給。
 代わりに、すべての社会保障制度を停止するとしています。

 フィンランドといえば、福祉大国としても有名です。
 多種多様な社会保証の複雑化は、システム維持コストも膨大でした。
 ベーシックインカムの導入で、社会保障維持のコスト削減も図ります。

 不安なのは、代わりに「すべて停止する」とされる社会保障制度。
 具体的にどの社会保障制度をいつ停止するかはまだ未確定です。
 日本でベーシックインカム導入となれば、どうなるのでしょうか。

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フィンランドは夢の高福祉国のはずだけど?

 フィンランドと聞くとどのようなイメージが沸くでしょうか。
 学力世界一、学費・医療費完全無料、老後も安心。
 高い税金さえ目をつぶれば、夢のような生活を送れる国なのです。

 しかし、実態はそこまで楽園ではありません。
 フィンランドは深刻な不況下にあり、失業率も高まるばかりです。
 そして高齢化が進行しており、その速度はEU内最速とされています。

 失業者や高齢者を支えるのが高福祉国の手厚い社会福祉制度です。
 それを支える税収が不況で伸びないとなれば、やることは増税です。

 現在、所得税は日本と同水準で、消費税は24%となっています。
 軽減税率が導入されているので薬や食料品は安いですが、かなりの高率。

 社会保障制度の見直しは政府にとって急務でした。
 そして、ベーシックインカムの導入となった経緯があるのです。

社会保障制度が停止するということは?

 フィンランドのにとってベーシックインカムは経済対策でもあります。
 複雑な社会保証制度をシンプル化してコストダウンを図るのです。
 となれば、社会保障制度を停止するほど、経費削減は進みます。

 ベーシックインカムで年金制度が停止することは確実でしょう。
 最後のセーフネットである生活保護も必要なくなります。

 医療費の国家負担は停止するとなると、病気持ちには厳しくなります。
 フィンランドでは予防リハビリなども活発でしたが有料ならどうなるか。
 教育費や給食費の国家負担も停止するなら、子育て世代に打撃が。
 育児、介護、障害者やシングルマザーなど、社会福祉は多岐に渡ります。

 これまでの国家負担分をすべて自分で負担せよということです。
 その代わりに、毎月11万円を支給しますというのです。

 一律支給ですから、社会保障制度の恩恵を多く受けてきた人には厳しい。
 逆にいえば、これまでは他者の税金を多く費やしてもらってきたのです。
 ベーシックインカムにより自助自立に近付いたことになります。

日本で適用するとなるとどうなる?

 日本では橋本氏が維新八策にベーシックインカムを組みこんでいました。
 政党が公約に掲げているという点では、日本も導入可能性はあります。

 ただ、日本とフィンランドは単純に比較することに意味はありません。
 フィンランドは北海道と同程度の面積と人口密度で、国家の規模が違います。

 日本ではきめ細かいサービスが良いサービスという文化があります。
 十人いれば十通りのサービスがあるというわけです。
 ベーシックインカムは究極的にそれを一律サービスにしてしまいます。
 そこへの反発は当然、予想されます。

 ただ、きめ細かいサービスには個々の担当者の裁量が必要です。
 それが癒着や腐敗、または利権集団を生んできたという背景もあります。
 それらを排除できるという点は、大きなメリットでもあります。

 フィンランドでは国民の69%がベーシックインカムに賛成したそうです。
 日本で導入するとなると、どの程度になるのか。
 この機会に、報道機関が世論調査をして欲しいものです。

最低限の金額を支給するということ

 フィンランドのベーシックインカムは最低限の生活費を支給します。
 その額が日本円で11万円ということです。
 フィンランドは消費税が高く、物価水準は日本よりも高めです。

 個人差はあるものの11万円では「最低限」の生活費にしかなりません。
 最低限の生活費では困る人は、別に収入を得なければいけないわけです。

 趣味や嗜好に費やしたい人は、働いて稼げばよいのは今と変わりません。
 子育て世代や、障害者などは引き続き福祉政策で守る必要があります。
 そういう意味では、すべての社会保障は停止できないのでしょう。

 フィンランドはキリスト教国ですから、宗教が救済するのかも?
 それを政府が主導したら政教分離に反するし、難しい問題です。
 難しいからこそ、壮大な社会実験に世界が注目しているわけです。

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