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11月5日は「世界津波の日」 逸話「稲むらの火」って知ってる?

time 2015/12/07

11月5日は「世界津波の日」 逸話「稲むらの火」って知ってる?

 日本政府は11月5日を「世界津波の日」とすることを提案していました。
 これが国連総会第2委員会で採択され、正式に決定しました。

 「津波の日」とするからには3月11日ではないの?
 11月5日に何かあったのでしょうか?

 1854年の安政南海地震の際の逸話「稲むらの火」が由来だそうです。
 逸話「稲むらの火」って知ってますか?

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「生き神」として世界に紹介された逸話

 物語は和歌山県で実際にあった実話に基づいたものです。
 1854年の旧暦11月(現12月)に安政南海地震が発生しました。

 村の高台に住む五兵衛は地震に合いますが大した揺れではありませんでした。
 しかし、地震の後で海水が沖合に退いていくのをみて津波を予見します。
 ところが、村人たちは祭りの準備に忙しく、それに気づきませんでした。

 そこで五兵衛は刈り取ったばかりの稲の束(稲むら)に火を付けます。
 火事とみて高台に集まってきた村人は、津波から守られたという話です。

東日本大震災より昔から世界に知られる「稲むらの火」

 この話は戦前の国定教科書に採用され、1947年まで掲載されていました。
 その時に子供向けに詳細を端折った「稲むらの火」となったそうです。

 その原文は藤井八雲が書いた「A Living God」です。
 藤井八雲は帰化日本人で、元はイギリス人でした。
 彼の著書は、当時は情報の少ない日本の情勢を世界に知らしめました。

 「稲むらの火」は世界に津波を知らせる広告塔になりました。
 アメリカのコロラド州でも教科書に掲載されています。
 また、2008年のスマトラ沖地震を経て8ヶ国語に翻訳され配布されています。

 3.11ではなく、11.5が「世界津波の日」となる理由がよくわかります。
 「TSUNAMI」が英語辞書に載る背景には、この逸話があったのでしょう。

実は史実は全然違う?

 史実に基づいた「稲むらの火」には史実と異なる部分があります。
 小泉八雲の誤解によるものの、主題は同じなのでそのまま翻訳されました。

 まず、「大した揺れではない」は間違いで実際にはかなり揺れたそうです。
 推定震度は5~6ですから、当時の建造物ではほぼ壊滅状態だったのでは。

 五兵衛の家は高台ではなく、町の中にありました。
 そのため、津波から逃げる際に半身が水没し、危うく流され掛けています。
 その後、日暮れが訪れると暗闇に包まれたため、稲むらに火を付けました。
 これにより、安全な避難場所がわかり助かった人が大勢いたそうです

 さらに、火を付けた稲むらは、すでに脱穀した後の藁の束でした。
 自分の食い扶持を燃やした「自己犠牲精神」かと思いきや、まさかの展開。
 五兵衛の家は町中ですから、火を付けた藁束も恐らくは他人のもの。

 とはいえ、人命救助に一役買ったことは間違いありません。
 そこはそういう美談ということでよいではありませんか。

五兵衛の本当の功績は津波の後?

 実は五兵衛も誤りで、実は儀兵衛なのですが、このまま五兵衛で通します。
 五兵衛が本当にすごいのはその後でした。

 津波が未来にまた起こると予見した五兵衛は堤防造りに私財を投じます。
 これにより1944年の東南海・南海地震では被害を免れたとされます。

 津波で全てを流された五兵衛が、商人として復活したわけです。
 それどころか、復興に力を貸し、堤防造りまで行うとは。
 やはり、教科書に載るには十分すぎる男のようです。

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