ナレッジ ウォーカー 「時事散策」

10年後に日本の労働者の49%は失業する? 技術の進歩は不幸なのか?

time 2015/12/03

10年後に日本の労働者の49%は失業する? 技術の進歩は不幸なのか?

 野村総研がいずれ人工知能やロボットに代わるであろう職業を発表しました。
 代替される可能性が高い職業には、国内労働人口の49%が従事しています。
 10~20年後には、彼らの職は人工知能やロボットに代替されるというのです。

 代替可能性が高いのは、秩序的・体系的操作が求められる職業。
 代替可能性が低いのは、抽象的な概念知識や他者の理解、交渉が必要な職業。
 製造や販売など現場作業の多くは、代替されると推計しています。

 このニュースを見て、危機感を覚えるでしょうか。
 それとも働かなくても良い世界の到来に喜びを感じるでしょうか。
 ネット上の反応では危機感や不安感が上回っているようです。

 技術の進歩は不幸を招くのでしょうか。
 実は、技術の進歩により人類の職業転換は過去に何度も行われています。
 過去の技術進歩は人類を幸福にしたのか?不幸にしたのか?

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「IT革命」で失業率は下がった?

 最近あった大規模職業転換は「IT革命」です。
 要するに、コンピューターの出現による職業転換です。

 代表的なコンピューターの導入事例はPOSシステムです。
 レジでバーコードを読み込み「ピッ」と鳴る、あのシステムのことです。

 POSシステムが出来る前は商品の値段は値札で示されていました。
 それがバーコードを読み取る方式に代わったのです。
 これでシール業者、スタンプ業者なども打撃を受けたことは想像できます

 POSシステムの一番の強みは「棚卸」と「マーケティング」です。
 人手を掛けて日々の商品の販売個数をチェックし、傾向分析をしていました。
 POSシステムでは「ピッ」の裏側で勝手にデータ蓄積し分析してくれます。

 これにより販売店の人員を大幅に削減することが可能になりました。
 棚卸やマーケティングに関わる多くの人が失業したことでしょう。
 同様のことは、経理事務や管理業務など幅広く起こっています。

 では、IT革命で失業率が上がったかというと、逆に下がりました。
 IT技術の導入で企業は生産性を向上し、事業拡大が可能となりました。
 また、大量のIT技術者という新たな雇用が発生し失業率は下がったのです

歴史上最大の職業転換は「産業革命」?

 技術の進歩で職業転換が起こった事例は非常に多くあります。
 例えば、計算機の誕生でそろばんは価値を大きく下げました。
 計算作業も計算機があれば少人数で可能になり余剰人員が発生します。

 そろばんだって、誕生したときには筆算を仕事にする人達を駆逐したはず。
 そうやって技術進歩に合わせて職業は変わってきたのです。

 その最大のものは「産業革命」でしょう。
 蒸気機関をベースに工場の機械化が進み、大量生産が可能になりました。
 そして、手工業全盛の時代に比べ、製造に関わる職人は激減しました。

 では、産業革命により世の中には失業者があふれたでしょうか。
 むしろ、世に富と物があふれ労働者は不足する状況になりました。

 豊かになった人類は「サービス業」を充実させます。
 二次産業から三次産業への大きな職業転換のきっかけになりました。
 産業革命は失業者を生みつつも、それ以上の雇用を創出したのです。

もうひとつの大転換は「農業革命」

 産業革命は二次産業から三次産業への職業転換を促しました。
 では、一次産業から二次産業への職業転換を促したのは?
 それは農業の生産性を飛躍的に向上させた「農業革命」です。

 農業革命により安定した食料供給が可能になりました。
 すると、当然のように爆発的な人口増加が発生します。
 結果的にそれが新たな農業需要を生み、失業者は増えませんでした。

 また、食料供給が安定したことで農業以外の従事者が増えました。
 彼らはの多くは二次産業へと働きの場を広げていきます。

 一次から二次へ、二次から三次へ、職業転換は進みました。
 大局的には職業転換による大量失業者の発生とはなりませんでした。

「ロボット革命」で第四次産業が生まれるか?

 10~20年後に人口知能やロボットにより発生する大規模職業転換。
 ロボット革命で職を失った人々は四次産業を創出するのでしょうか。
 四次産業とはいったいどんな産業になるのでしょう。

 そろそろ職業転換ではなく「職業消失」でもよいのでは。
 理論的には生産性が維持されれば、誰も働く必要はなくなります。

 ロボットの生産もメンテナンスもロボットがやればいいわけです。
 人間は手を下さずとも、衣食住からサービスまですべてが提供されます。
 そういう究極世界がそろそろ見えてきてもいい頃なのではないでしょうか。

 少なくともロボットの導入で生産性をそのままに人手は減らせます。
 それがゼロサムではなく、ワークシェアリングになって欲しいもんです。

 毎日1時間の仕事でこれまでと同じ給料が貰える社会。
 それが「四次産業」になるかも知れません。

 やはり技術の進歩は人類を幸福に近付けているということです。
 ロボット革命に恐れ慄くのではなく、喜んで歓迎するとしましょう。

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