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人民元が基軸通貨へ 日本の危機?世界の危機?

time 2015/12/02

人民元が基軸通貨へ 日本の危機?世界の危機?

 人民元が基軸通貨として認められることになりました。
 これで、ドル、ユーロ、ポンド、円に続く基軸通貨の登場です。

 中国は元を基軸通貨にするために、努力を積み重ねてきました。
 上海の株暴落も、AIIBも、元を基軸通貨にすることと関連しています。

 関連についてはこちらの記事に書いています。
 ⇒中国上海市場で大幅下落 予定通りの下落?予想外の下落幅?

 当初は2015年のIMF総会では、元は基軸通貨にならなにとみられていました。
 それが、欧州が好意的に受け入れたことで一転しました。
 最近の中国外交のしたたかさはすばらしいものがあります。

 では、人民元が基軸通貨になることでどうなるのでしょうか。
 酒飲み話レベルの範囲で解説していきましょう。

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短期的に変わることは?

 基軸通貨になることは国際決済通貨になるということです。
 これからは、円相場でドルやユーロと一緒に元の値段が報じられます。
 庶民レベルで変わることといえば、その程度のことです。

 しかし、これで中国の経済はとても強化されました。
 少なくとも、経済崩壊時にソフトランディングできる可能性ができます。

 基軸通貨は国際取引に使われる通貨として認められたということです。
 そして、中国は元を印刷することができます。
 これは、急激な経済悪化を元を増やすことで乗り切れることを意味します。

 基軸通貨ではない通貨を増刷すれば、通貨の価値が暴落してしまいます。
 しかし、国際取引で使われる場合は暴落がしづらくなります。
 元市場は世界に開かれることになるからです。

長期的に変わることは?

 基軸通貨の強みは、流通量の多さにあります。
 通貨量の流通量をコントロールできる国がメリットを享受します。
 元は流通量で円やポンドを上回っており、シェア3位とされています。

 日本の円は国際決済での流通量が伸び悩んでいます。
 これは基軸通貨でありながら、基軸通貨の恩恵が広がっていない状態です。
 元が基軸通貨になることで圧迫されることが予想されます。
 円は、事実上の基軸通貨でなくなる可能性もあります。

 それはドル、ユーロ、元が暴落した際の影響が大きいということ。
 リーマンショックで日本の被害が小さかったのは、円が基軸通貨だったから。
 事実上、基軸通貨でなくなればその被害はとんでもないことになります。

元暴落の危機は回避されたのか?

 元が基軸通貨になることで中国の経済崩壊はソフトに進みそうです。
 しかし、だからといって元暴落の危険がなくなったわけではありません。

 通貨は基本的に信用によって成り立っています。
 ただの紙切れである紙幣に、価値を保証するのは国家です。
 国家が滅べばその国の紙幣は本当の紙切れにかわります。

 つまり、通貨が流通するには発行国の安定が必須条件となります。
 中国の国体が危ぶまれれば、元は「紙切れ」になるリスクが高まります。
 当然、元を手放そうとして売り先行になれば、暴落してしまいます。

 また「信用」を得るには通貨発行量の透明性や経済の自由度が必要です。
 中国はその点では、疑問視する声がいまだにあります。

世界の流れは中国へ

 中国経済の不透明さ、自由度の低さは現在も指摘されています。
 それでも基軸通貨として認めたのは、欧州の思惑があったからです。
 チャイナリスクは欧州までは届いていないのが一因です。

 中国は共産主義から自由主義へ実質的に転換を図り経済解放を進めました。
 日本は隣国ですからいち早くこの流れに乗り、大きな利益を得ました。
 現在はチャイナリスクが顕著となり中国への投資額は減少しています。

 日本に次いで、米国が中国の経済的魅力に接近を図りました。
 しかし、価値観的に相容れず、思想やモラルにも違いがある両国のこと。
 オバマ大統領は親中とされていましたが、現在は露骨に敵視しています。

 そして、遠く離れた欧州がいまさらながらに中国に食指を伸ばします。
 AIIBへの参加を決め、元を基軸通貨として認めたのです。
 欧州と中国が接近した末には何が待ち受けているのか。
 日本や米国の轍を踏まないと良いのですが。

短期的には良し、長期的には悪し?

 短期的には中国の経済崩壊がソフトになることが見込まれます。
 これは中国経済の影響を受けやすい日本にとっては良い点です。

 長期的には元が円を圧迫して、日本の世界経済での地位は下がるでしょう。
 これは他通貨の影響を受けやすくなり、日本にとっては悪い点です。

 IMFは正しいと判断したのでしょうが、中国を高く評価し過ぎでは?
 IMFの出資比率、1位米国、2位日本。
 もう少し、出資比率と発言権をリンクさせてもいいのではないでしょうか。

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