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神風特攻隊と自爆テロ実行犯は同じ? 西洋宗教観では理解できない違いとは?

time 2015/11/18

神風特攻隊と自爆テロ実行犯は同じ? 西洋宗教観では理解できない違いとは?

 自爆テロ実行犯を「Kamikaze」と表現したことが注目されています。
 パリ同時多発テロで現地メディアが「Kamikaze」としたのです。
 それに、日本の元特攻隊員が「テロリストとは違う」と反論しました。

 フランス語の「Kamikaze」は神風特攻隊から生まれた言葉です。
 仏製日本語といったところでしょうか。
 英語でもかつては「カミカゼアタック」「バンザイアタック」とされました。
 現在は「suicide attack(自殺攻撃)」が一般的に使われるようです。

 過去にも朝日新聞が自爆テロを神風特攻隊に例えたことがありました。
 その時は産経新聞が対抗する社説を出し、違うものだと反論しました。

 先祖の冒涜、特攻賛美、狂信的行動、特攻の強制、感情的議論もあります。
 しかし、一度冷静になり極めてドラスティックに分析してみましょう。
 神風特攻隊と自爆テロ実行犯は同じものなのか。

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「自爆+テロ+実行犯」に分けて考える

 多くの議論が割れる原因は「自爆テロ」という言葉にあります。
 これは「自爆」と「テロ」を合わせた言葉ですが、意味は全然異なります。
 それを一緒くたにして「神風特攻隊」と比べるからわかりづらいのです。

 そこで「自爆+テロ+実行犯」に分けてみましょう。

 「自爆」という点では神風特攻隊との共通点はあります。
 特攻、特別攻撃とは「体当たり攻撃」のことであり、生還はありえません。
 自らの命を犠牲にした攻撃という点では、「自爆」と共通です。

 「テロ」という点では神風特攻隊とはまったくの別物です。
 「テロ」とは「政治目的のために暴力あるいは脅威に訴える行為」です。
 神風特攻隊は敵軍を標的としており、暴力ではなく武力です。
 戦争で例えるなら、米軍が行った都市部への無差別爆撃が暴力に当たります。

 「実行犯」は行為を行う人ですから、そこは省きましょう。
 こうしてみると、「自爆」と「テロ」で解釈は異なることがわかります。

宗教から見た「自爆テロ」と「神風特攻隊」とは?

 イスラム教もキリスト教も、同じ神を崇拝する一神教です。
 その教えに大差はなく、宗教的に対立する関係にはありません。

 ⇒難民問題で注目 イスラム教の知っておきたい基本の3つ

 イスラム教でもキリスト教でも、自殺は禁じられた行為です。
 武士は責を問われれば切腹し、生きて虜囚の辱しめを受けずとした、日本人の伝統的死生観とは全く違います。

 イスラム教には敵と戦って死んだ者は天国に行けるという教えがあります。
 「聖戦(ジハード)」という教えです。
 これがイスラムの敵に対し自爆テロを仕掛ける宗教的根拠です。

 キリスト教にはジハードの教えはありません。
 目的のために命を捨てることは、宗教的にも許される行為ではないのです。

 アメリカは神風特攻隊の攻撃を受けた後で、ずいぶんと研究しました。
 パイロットは洗脳されているのか、人質を取られているのか、狂信者か。
 命を捨ててでも目的を果たすということが、心底理解できないのでしょう。

特攻とは攻撃ではなく戦術を指す言葉

 特攻とは「自爆攻撃」を指す言葉ではありません。
 「自爆攻撃」は、米軍も行っていましたし、フランス軍も行ったでしょう。

 軍用機が攻撃を受け、飛行不能になって墜落しはじめたとき。
 せめて敵にぶつけてやろうというのは、どの国でも行われたことです。
 脱出装置を使う者もいますが、自爆攻撃を選んだ者もいます。
 その脱出装置が動作したのかを確認する方法はありません。

 「特攻」とはそれを戦術として確立したものです。
 戦闘行為の中で、危急の選択として「自爆攻撃」を選ぶのではありません。
 戦術レベルで危急の選択として「自爆攻撃」を選んだわけです。

 「自爆テロ」にも共通点はあります。
 大国に正面切って軍隊をぶつけても勝ち目のない勢力が、その大国に敵視されることは危機的状況です。危急の選択として自爆攻撃を選ぶという風にも考えられます。

 特攻や自爆が戦術か?という議論もありますが人道や倫理の観点は置きます。
 上官からの命令で 組織的に行われた「自爆攻撃」は戦術であると考えます。

最大の違いは「テロ」ではないということ

 まとめてみると、違いは「テロ」に集約されます。
 神風特攻隊は「自爆」であるが「テロ」ではないのです。

 「自爆」は欧米でも許容範囲内ではないかと思います。
 現在の価値観では人道的、倫理的に受け入れ難いのはわかります。
 しかし、かつては欧米でも「自爆攻撃」があったも事実なのです。

 アメリカでは、戦後日本との交流が盛んに行われてきました。
 そこで「カミカゼアタック」は「suicide attack」に変わりました。
 「自爆」ではあるが「テロ」ではないとされているのです。

 フランスは日本文化への理解が深いといわれますが、まだ不足だということ。
 フランス語もこの機に「suicide attack」に改めるとよいのですが。

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