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韓国主導で「北東アジア開発銀行」を設立? 四番煎じを狙った妄言か?

time 2015/11/17

韓国主導で「北東アジア開発銀行」を設立? 四番煎じを狙った妄言か?

 韓国・朴大統領が、G20サミットでインフラ投資協力の提案を行いました。
 その対象は、北朝鮮など北東アジア地域です。

 「北朝鮮が核を放棄すれば毎年630億ドルのインフラ投資を支援する」
 630億ドルは国際社会の協力を得て調達するとしています。
 その実現方法として「北東アジア開発銀行」の設立を提案しました。

 中国主導のAIIBに世界の注目が集まっている中での新たな提案。
 しかし、実現の可能性はあるのでしょうか?

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ぶれない朴大統領も北朝鮮支援で賛同は得られない?

 提案の骨子となる「北東アジア」で見据えているのは北朝鮮です。
 そもそも「北東アジア」なる地域はそんなに広いエリアではありません。
 日本、中国、台湾、モンゴル、極東ロシア、それに韓国と北朝鮮です。

 その中で、インフラ需要があり開発の余地があるのは北朝鮮としています。
 その点に異論はありませんが、北朝鮮支援に賛同が得られるでしょうか。

 朴大統領は、外交で点数を稼ぎ支持率を上げてきたとされてきます。
 日本では韓国外交というと反日政策を想像しますが、そうではありません。
 主に、北朝鮮との外交政策で点数を稼いできたのです。

 朴大統領の理念は、朝鮮の南北統一は「チャンス」だということ。
 北東アジアに成長と投資、そして平和をもたらすものだとしています。
 朴大統領の進む道にまったくブレはありません。

 但し、周辺国はじめ国際社会の賛同は得られていないのが実情。
 パリ同時多発テロでも、断固として戦う姿勢が賞賛され支持されました。
 核武装で威嚇を続ける北朝鮮を、支援する世論とは逆行しています。

パリ同時多発テロで最悪となった北朝鮮支援提案の真意は?

 北朝鮮が南北統一に前向きな姿勢を示している証左はありません。
 ただ、最も北朝鮮と対話しているのも韓国です。
 北朝鮮の真意を汲んだ上での、支援提案である可能性はあります。

 国連事務総長の潘基文氏が北朝鮮を電撃訪問すると報道されました。
 潘氏は最有力の次期大統領候補とされています。

 対テロで緊張が高まる中で「悪の枢軸」とされた北朝鮮の支援案を出す。
 普通に考えれば、タイミングは最悪です。
 それでも通したのは、潘氏との連携があってのことでしょう。

 韓国大統領は国際社会に協力を求め、国連事務総長は北朝鮮と対話する。
 蜜月と言われる二人が、世界を股に掛けた連携プレイを行うとはさすがです。

 一方で、韓国政府は潘氏の訪朝を「知らない」と述べました。
 韓国人としてでなく国連事務総長の立場で訪朝する潘氏を気遣ったものか。
 いずれにせよ、「世界の利益」を上げてくれると潘氏には期待したいです。

北東アジア開発銀行に資金を出すのは誰か?

 「北東アジア開発銀行」は北東アジア地域に特化としてます。
 その資金を出すのは北東アジア以外からも集まるのでしょうか。

 アジア開発銀行(ADB)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の先例があります。
 両方とも地域外からの加盟国を多数抱えており、可能性はありそうです。

 では、最大の出資国はどこになるのでしょうか。
 日本はADBの最大出資国であり歴代総裁は日本人が務めています。
 中国はAIIBの最大出資国であり、初代総裁は中国人が務めます。
 ちなみに、IMFはアメリカが最大出資国です。

 韓国としては、是非とも「最大出資国」となり総裁を輩出したいところです。
 「最大出資国」から総裁が選出され、強い影響力を発揮できるからです。
 日本と中国を除けば、北東アジアで最大の経済大国は韓国です。
 その韓国の経済力をもってしても国際的信用が得られるかはわかりません。

 では、日本や中国が最大出資国となるのか?
 それならばADBやAIIBで十分だとなるのは間違いありません。
 下手すると、日本がAIIBに出資しなかったように日中抜きになるやも。
 そうなれば、北東アジア開発銀行は構想段階で崩壊して終わりです。

今が悲願である朝鮮統一の最大のチャンス?

 朴大統領が妄言ともいえる提案をするのは、今が統一のチャンスだからです。
 金正恩政権はまだ不安定で、付けこむ隙がいくらでもあります。
 これが盤石政権を築かれたら、体制崩壊に持ち込むのは難しくなります。

 しかし、韓国内には統一に後ろ向きな空気が蔓延しています。
 ドイツの東西統一を見て天文学的な金が掛かることを知ったからです。
 無理に統一せず、今のまま未来に先送りしたいという雰囲気になっています。

 経済的な負の側面は、統一後のインフラ開発や市場拡大でプラスにできる。
 それが、朴大統領の考える南北統一は「チャンス」という理論です。

 とはいえ、韓国の経済力では統一に掛かる莫大な資金がありません。
 欧州最大の経済大国だった西ドイツ、東欧きっての先進国だった東ドイツ。
 優等生同士の統合だから耐えられたのであり、朝鮮とは状況が違います。

 そこで、統一に掛かる莫大な資金は国際社会の協力で集めたいのです。
 統一に掛かる「一時金」さえあれば、統一後は開発によりペイできるはず。
 平和な未開発の土地があれば、急速な発展と資金流入が見込めるのです。

 こうしてみると朴大統領の提案は妄言ではなく、悲願とも受け取れます。
 「極東の平和」を金で買えるなら安いモノという見方もあります。
 日本、米中などがどう反応するかも見物ですが、期待薄でしょうか。

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