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南シナ海の領有権問題 中国が根拠とする「九段線」とは?

time 2015/11/13

南シナ海の領有権問題 中国が根拠とする「九段線」とは?

 南シナ海の緊迫がまだまだ続いています。
 米軍は駆逐艦に続いて爆撃機を飛行させました。

 南シナ海の人工島は中国本土から遠く離れた島。
 それを歴史的に中国が領有する島だとするのは無理があります。
 ・・・本当に無理があるのでしょうか。

 中国は明代に鄭和がアフリカまで海洋航行した歴史を有します。
 そのときに東南アジア諸国のほとんどは朝貢国となりました。
 また、戦前の南シナ海周辺は植民地で囲まれ独立国はありませんでした。

 中国が主張する南シナ海領有の根拠「九段線」とは?

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「九段線」は歴史的ではなく最近できた根拠薄弱なもの?

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 九段線は、地図上に九つの点線を描くことから付けられた名前です。
 九つの点線が南シナ海の大半を囲んでおり、それが領有権主張の根拠です。

 1930年に「中華民国」は伝統的な地図から、の近代化な地図に変更します。
 それらの地図で南シナ海は中国領であるとされました。

 1947年に地図が改められ、11の点線で囲われた「十一段線」になりました。
 その後、中華民国は台湾に追いやられ、共産党の中華人民共和国となります。
 南シナ海の地図はそのまま中華人民共和国に引き継がれました。

 1953年に北ベトナムに配慮してトンキン湾付近の点線2つを削除しました。
 九つの点線となり「九段線」が誕生しました。

 これに周辺国が国連海洋法条約に基づくべきとして領有権の主張をします。
 それが、今の南シナ海の領有権問題の構図です。

 中国は九段線を根拠していますが、九段線の根拠は示されていません。
 ただ、中国が管轄している、歴史的にすべての海域が中国領としています。
 これを戦略に幅をもたせる戦略的曖昧性とする議論もあります。

 歴史的に中国領といいつつ、どの歴史が中国領の根拠かは謎なのです。

アメリカは「九段線」を完全否定している?

 南シナ海での中国の暴挙は許さずと、米軍が牽制活動を行っています。
 アメリカは中国の「九段線」を法的根拠として認めていません。
 そして、「九段線」の定義を明確にするよう求めています。

 中国はこのアメリカの動きに反発し、批判しています。
 「南シナ海では一方の味方につかないという約束に反する」としています。
 しかし、根拠が曖昧では争点を見いだせず議論になりません。

 これを中国の暴挙とし「自由の海である」ことを証明すべく行動します。
 それが南シナ海で米軍が航行するに至った法的な背景です。

 では、国際法では中国の領有権主張は否定されているのでしょうか。

常設仲裁裁判所の判決はどう出るか?

 2012年にスカボロー礁でフィリピンと中国の船が一触即発となりました。
 スカボロー礁は中国の実行支配にあり、フィリピンも自国領としています。

 フィリピンは中国の南シナ海の領有権主張は国際法違反として訴えます。
 常設仲裁裁判所は審理を受け入れるとしたのが、2015年10月末のことです。
 この仲裁にはベトナムも独自の主張を裁判所に申し立てています。

 中国は「フィリピンの仲裁案は受入れいない」と完全否定しています。
 さらに「決定は中国に拘束力を持たない」と判決が出ても拒否する姿勢です。

 国際法による法的勝敗は完敗であることをすでに認めたようなもの。
 その上で、決定を拒否することは「国際法違反」と周囲に認識されます。

根拠がなくなれば・・・むしろ事態は悪化する?

 中国は常設仲裁裁判所の判断を受け入れる気は毛頭ないようです。
 しかし、九段線の法的根拠が否定されれば中国の「国際法違反」となります。

 国際世論が高まって、それで引き下がるなら中国もかわいいもの。
 実際には「実効支配」を継続することで既成事実化を図るでしょう。
 そうなると、正当性の根拠を得た周辺国は「実効支配」の排除に向かう。

 平和的解決に近付くというより軍事衝突の大義名分が整いつつある状況。
 そうならないように、非軍事的な圧力を掛けていく必要がある。
 国連決議は中国が拒否権を有することから期待はできません。

 こうなると、日本の役割はますます重要になってきます。
 南シナ海は海峡問題以上の「東アジアの火薬庫」になりそうです。

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