ナレッジ ウォーカー 「時事散策」

世界最大の飛行機は70年前に作られた? ロマンのある巨大飛行機の話

time 2015/11/12

世界最大の飛行機は70年前に作られた? ロマンのある巨大飛行機の話

 日本が半世紀ぶりに国産旅客機を飛ばしたニュースが盛り上がっています。
 半世紀前に飛んだのはYS-11だというから、相当なものです。

 そんな飛行機関連の話をひとつ。
 世界最大の飛行機は何か知っていますか?

 最大の定義がまずいろいろとあります。
 全長、全幅、全高、飛行重量、積載量、などなど。
 飛行機ですから翼の大きさで決めるとなると、それは70年前まで遡ります。

 米国の「スプルース・グース」が現在でも翼幅(全幅)最大の飛行機です。

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現在の巨大飛行機と比較すると?

 「スプルース・グース」の正式名称は、ヒューズH-4ハーキュリーズです。
 ハーキュリーズは「ヘラクレス」の英語読みです。

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 巨大飛行機というと「An-225ムリーヤ」があります。
 現在も現役のジェット輸送機で、2010年には日本にも飛来しています。
 その貨物積載量は300tになるといわれています。

 そのムリーヤの翼幅は88.74mですが、ハーキュリーズは97.51mもあります。
 片翼で5m弱も長いのですから、正面から見れば圧巻の巨大機です。
 但し、全長はムリーヤ84mにハーキュリーズは66.65m。
 横から見たら、ムリーヤの方が巨大です。

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 ちなみに、「ジャンボジェット」と呼ばれるボーイング747。
 その最新型は翼幅68.5m、全長76.4mです。

 ハーキューリーズはジェット機ではないので後退翼ではありません。
 それを差し引いても、大きいのがわかります。

戦争に間に合わなかった幻の兵器?

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 ハーキュリーズは第二次世界大戦に向けて開発されました。
 当時の欧州はドイツが席巻し、英国と海を挟んで激戦の最中でした。
 米国は英国を支援していましたが、輸送は困難な状況でした。
 ドイツのUボートがシーレーンを封鎖していたからです。

 そこで造船業のヘンリー・カイザーは「空輸」という選択肢を考えます。
 軍は軍用機生産に注力したいので大型輸送機計画には否定的でした。
 しかし、国民が後押しして暫定的に計画は了承されました。

 兵士750名を載せ、戦車なら2両、積載重量は200t。
 その重量から既存の空港では滑走路が短く、飛行艇になりました。
 この1機のために、戦闘機100機分のアルミ合金が必要とされました。
 そのため、構造は金属を使用せず、全木製という条件が付けられました。

 軍が前向きではないことから、すったもんだもあって開発は難航します。
 もはや戦争中に完成するのは無理だというのは明らかになっていました。
 終戦後は、開発を請け負ったヒューズが私費を投じて継続しました。
 そして、1946年11月にハーキュリーズは完成します。

 たった1機だけが製造されたハーキュリーズは初飛行を行います。
 高度25mを1分ほど飛行しました。
 それが最初で最後の飛行となり、以後は飛ぶことはありませんでした。
 機体の強度に問題があったからで、巨大飛行機の難しさがわかります。

 とはいえ70年前に巨大飛行機を飛ばしたのは驚嘆すべきことです。

飛行機に大きさの限界はあるのか?

 かつては限界があるとする識者もいましたが最近は聞きません。
 飛行機は最新技術の塊で、機体強度は冶金学で進化します。
 ジェットエンジンも軽量かつ高推力に進化していきます。
 翼だけでなく機体も揚力を発生させる全翼機もあります。
 理論的には限界はないといえそうです。

 それよりは滑走路の長さや滑走路が重量に耐えられるか。
 巨大飛行機1機と、中型機複数機を飛ばす費用対効果。
 そういった運用上の限界の方が先に来ると思われます。

 「ムリーヤ」も世界に1機しかなく量産されていません。
 巨大飛行機は夢幻の如き存在だからこそ、ロマンがあるのでしょう。

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