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注目のミャンマー総選挙 いまさら聞けない3つのミャンマー事情

time 2015/11/10

注目のミャンマー総選挙 いまさら聞けない3つのミャンマー事情

 11月8日に投開票されたミャンマー総選挙。
 与党が大敗し、政権交代が確実となり、民主化の期待が高まっています。

 日本のように翌日にはすべての開票が完了とはなりません。
 とはいえ、勝敗は決し与党は敗北を認めました。

 なぜミャンマーの総選挙が注目されるのか?
 ミャンマーってどこ?という方もいるかも知れません。
 基礎的な3つのミャンマー事情を押さえて、時事ネタ雑談に備えましょう。

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半世紀も軍事政権が続いたミャンマーは民主化するか?

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 ミャンマーは人口5000万人ほどの他民族国家です。
 かつては「ビルマ」と呼ばれ、映画「ビルマの竪琴」などが有名です。
 英国の植民地、日本の傀儡政権、また英国の植民地、そして独立します。

 その後、軍事政権に移行し、さらに共産主義へ傾倒します。
 ところが1988年には経済の悪化から軍事政権は崩壊し始めます。
 世界中の共産主義が後退を始め、ミャンマーも民主化気運が高まります。

 1990年の選挙では民主化を推進する国民民主連盟(NLD)が大勝利。
 しかし、軍事政権は政権委譲を拒絶し、軍事政権は維持されます。

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 2007年には仏教僧が反政府デモを行うが武力で弾圧。
 これが世界中のニュースとなり、ミャンマーは世界中から批判を浴びます。
 日本人ジャーナリストが射殺され、日本でも大きく報道されました。

 2010年に再び総選挙がありますが、軍事政権が圧倒的多数で勝利。
 事前に反政府派は排除されたとされ、NLDは選挙をボイコットしています。
 国際的な選挙監視団の受入れも拒否して、強行して実施されました。
 米国は「見かけ倒し」と批判、中国は「平和的な選挙」と賞賛しています。

 1988年以降、軍事政権は民主化の準備を進めてきました。
 ミャンマー国民の民主化気運も高まり、国際社会も求めています。
 そして、2015年に三度総選挙が訪れたのでした。

 今回の選挙の注目は「選挙が不正なく実施されるのか」でした。
 現時点では、選挙前の不当な候補者排除などはないようです。
 かつてのような政権委譲拒否がなければ民主化政権が誕生するのでしょう。

アウンサンスーチー氏ってどんな人?

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 ミャンマーの民主化運動で欠かせないのがアウンサンスーチー氏です。
 1991年にはノーベル平和賞を受賞しています。
 政府の軟禁と解放を繰り返し、過去の選挙中は軟禁状態でした。

 父親は「ビルマ建国の父」とされるアウンサン将軍です。
 アウンサン将軍は日本軍と協力して英国と戦い、ビルマ国を建国します。
 後に、ビルマ国が日本の傀儡となると、クーデターを起こし英国領へ。
 そして権力争いの中で暗殺されてしまいます。
 アウンサンスーチー氏がまだ2歳のころのことです。

 アウンサンスーチー氏は非暴力民主化運動を推進します。
 国民民主連盟を率いて1990年の選挙で勝つと、軟禁生活が始まります。
 民主化の重要人物として、国際的にも支援が始まります。

 選挙で敗北したのに政権委譲を拒否した軍事政権は国際的に批判されました。
 真の勝利者のアウンサンスーチー氏を各国は国家代表と同等に扱います。
 今回の選挙の勝利で、実質的最高権力者になると目されています。

「軍事政権が悪い」とは簡単にいかない裏事情とは?

 2010年には「出来レース」といわれる選挙戦を行ったミャンマー与党。
 それが、5年で公正中立な民主化プロセスとなる選挙を行えるのか?

 この5年の動きというのが、重要になります。
 民主化運動のシンボルであるアウンサンスーチー氏は英国よりでした。
 夫は英国人だし、子供達も英国籍を取得しています。

 しかし、英国といえばかつては植民地としてミャンマーを支配した国。
 一度は独立するも、日本の傀儡政権打倒後に再占領された歴史を持ちます。
 アウンサンスーチー氏を、「裏切り者」「売国奴」とする声もあります。

 軍事政権は英国支配を脱し、ミャンマー独立を維持した政権です。
 再び、英国の影響が強まることを恐れています。

 2000年以降、米英が支援する反政府組織との和解が成立しました。
 また、アウンサンスーチー氏も英国と距離を置き始めました。
 軍事政権は諸外国からの孤立も招き、経済成長を目指すには足かせです。
 そういった要素が重なって、今回の選挙に至ったとみられています。

 欧米視点だと、共産化した時点で絶対悪。軍事独裁政権は絶対悪。
 しかし、その道を選んだのは欧米の植民地支配が遠因だったりします。
 日本人は欧米追随だけでなく、独自の視点で世界を見たいところです。

課題は山積み?ミャンマーは混乱が続く

 いまさらなミャンマー事情、如何だったでしょうか。
 NLDは政権経験のない素人集団、いわば日本の民主党政権ですから大変です。
 軍事政権勢力とも和解して、協力して政治を行っていくことになります。

 大統領も誰がなるかは不透明。
 当初は軍事政権側から選ぶとされましたが、選挙で落選してしまいました。
 アウンサンスーチー氏の人気は圧倒的ですから、院政になるのも如何かと。

 新たな投資先として期待されれば、経済急成長もありえます。
 日本からも中国から撤退した資本をミャンマーに投資するのが流行るかも。
 そのとき、過去の傀儡政権の恨みで、日本差別がないといいのですけど。

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