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内閣支持率上昇!って、世論調査は信用できるの?報道機関の扇動なの?

time 2015/11/10

内閣支持率上昇!って、世論調査は信用できるの?報道機関の扇動なの?

 内閣支持率が51%に上昇し、5ヵ月ぶりに過半数を超えました。
 日韓首脳会談が評価されての支持率上昇、韓国では下落したのと対照的です。
 目に見える成果のなかった日韓首脳会談で、何が評価されたのでしょう。

 これを受け、ネット上では批判の声が相次いでいます。
 「日本人はもう安保法制を忘れたのか」
 「支持率上昇など読売新聞の捏造だ」
 「農業新聞では支持率18%だった」

 TPP合意でダメージを受ける農業系新聞の話を持ち出すのは論外として。
 世論調査にどこまで根拠があるかは測りかねるところ。
 新聞社ごとに数字が掛け離れているケースもありますし。

 そんな世論調査の実態を掘り下げていきます。

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近年急増した世論調査は「安価な話題づくり」なのか?

 前回の内閣支持率の世論調査はいつだったでしょうか。
 TPP大筋合意のとき?定率減税の導入?安保法制成立?

 朝日新聞を例にとれば、2015年は毎月内閣支持率調査を実施しています。
 2010年には年間25回実施したそうですから、これでも減った方です。

 かつては世論調査は年に数回行われるのが普通でした。
 それが、2000年以降からは年10回以上が普通になっています。

 きっかけは諸説あります。
 小泉内閣が国民に直接訴えるスタイルを始めたからという説もあります。
 それなら、国民がどう思っているのかを聞こうじゃないかということです。

 調査方法が面接式から電話式に変わり「経費が安くなった」のもあります。
 複数の報道関係者が世論調査の増加につながったと説明しています。

 その上、世論調査は話題になりやすく政局への影響力も強くなりました。
 「安くて、強くて、売れる」となれば加速するのも仕方がありません。

調査対象数は妥当なのか?注意すべきは「無回答」の数?

 世論調査の信頼性は、調査方法によって担保されています。
 もし、調査結果にバイアスが掛かっていたら、それは見抜けません。
 発表した調査機関の信頼性がそのまま調査結果の信頼性になります。

 まずは調査対象の人数の妥当性ですが、これは統計学で算出されます。
 世論調査はだいたい1500人~2000人を対象にするものが多いです。
 統計学では、1万人の世論調査に1500人から聞けば十分とされています。
 そして、1億人の世論調査でも1500人から聞けば十分とされています。

 統計学の是非を論じても仕方がないので、こういうものだということです。
 但し、この計算は想定する調査結果が50%で算出されています。
 つまり、調査対象の半数が回答した場合に「十分」とされる人数です。
 裏を返せば「回答率が半数以下の世論調査」は1500人では不足です。

 「無回答」が6割、7割の結果など信用できないのは感覚でも同じですね。

調査方法による「偏り」は仕方がない?

 かつては調査方法の主流は面接式でしたが、現在は電話式になりました。
 今や電話帳に登録している家庭も少なくなり、電話帳ランダムは使えません。
 現在は、電話番号の下4桁ランダムが主流になっています。

 しかし、対象は固定電話だけなので「偏り」が発生しています。
 特に固定電話を持たない人が3割を超える20代のサンプル数が少なくなります。

 携帯電話への調査も検討されていますが、いまだ実験段階です。
 実験では電話に出るのは半数以下、調査に協力するのはその内の3割。
 まだまだ改善が必要とされている段階です。

 近年、ネット事業者が主に行う「インターネット調査」もあります。
 ただ、この信頼性については言わずもがな。
 ネット利用世代は40代以下に集中し、匿名性が高くチェックもできません。

 匿名性の高さは、調査ではメリットもあるとされています。
 面接式では顔を見られた相手に警戒し、極端な意見が出ずらいとされます。
 逆に匿名性が高過ぎると、遊び半分の回答や、嘘の回答が増えてしまいます。
 いまだ調査方法に「これなら大丈夫」というのはない状況です。

調査機関による偏向はあるのか?

 仮に内閣支持率の世論調査における報道機関に限定しましょう。
 大手新聞社は社会的信頼は高く、あからさまな偏向はありえません。

 しかし、各新聞社の世論調査の結果は必ずしも同じ数字になりません。
 調査対象数が違うのか、調査方法が違うのか。
 「質問」の仕方が違うのが原因だという意見が強いです。

 2014年9月に行った内閣支持率調査では、読売が64%に対し毎日は46%でした。
 第2次安倍改造内閣の成立を問うた調査で17ポイントも差がありました。

 「安倍内閣をどう思うか」だと安倍首相のイメージで評価が決まります。
 「安倍改造内閣をどう思うか」だと閣僚のイメージで評価が決まります。
 このようにわずかに問い方を変えると、調査結果も変わってきます。

 さらには「重ね聞き」というのもあります。
 「無回答」に対して「どちらかといえばどうか?」「強いて言うなら?」と重ねて聞くことで回答数を増やす行為です。
 これにより、本来の世論より極端な結果が出やすくなります。

 これをもって報道機関が「偏向している」と断定するのは間違いです。
 事前に文言調整して同じ質問をするなら、報道機関は複数必要ないのです。
 ただ、狙った結果が出るように若干の誘導は出来るのは事実です。

 2008年福田内閣のときも、読売41%、朝日24%と17ポイント差がありました。
 少なくとも、報道各社は「ポイント差」を改善する気はないようです。
 支持率41%と24%では、まったく状況が異なるのですが。

世論調査に一喜一憂するのはやめませんか?

 日本で世論調査が「強い」のは「右へならえ」の国民性とも取れます。
 「みんな内閣を支持してますよ~」とえば、浮動層も内閣を支持します。
 反対もまた然りです。

 選挙の事前調査をみて「投票しても無駄」と諦める人がいるそうです。
 ここまで来ると、世論調査のデメリットが論じられるべきだと思います。

 米国では、毎日のように世論調査が行われているそうです。
 それは逆に、世論調査の結果に国民が一喜一憂しないということ。

 調査対象数、調査方法、質問方法、世論調査は絶対ではありません。
 データは取るとして、いちいち気にしない国民性になって欲しいです。

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