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ジンバブエ大統領が孔子平和賞辞退 白人と闘うムガベ氏は最も相応しかったのに残念!

time 2015/10/30

ジンバブエ大統領が孔子平和賞辞退 白人と闘うムガベ氏は最も相応しかったのに残念!

 ノーベル平和賞に対抗し「中国の価値観」で受賞者を決める孔子平和賞。
 今年は最終候補に村山富一氏が残ったことでも話題となりました。
 結果は、ジンバブエのムガベ大統領が受賞。
 しかし、そのムガベ大統領も受賞を辞退したことがわかりました。

 日本の村山元首相は最終選考段階で「健康上の理由」により辞退を表明。
 それによりムガベ氏が受賞と相成ったわけですが、今になっての受賞辞退。
 理由は「孔子平和賞が中国政府と関係ないから」と説明しています。

 日本では「中国の民間」は、中国政府と同義と捉えるのが一般的。
 遠いジンバブエでは「政府と無関係」を真に受けてしまったようです。

 孔子平和賞はこれまでムガベ氏を含め5人の外国人(中国籍外)が受賞。
 しかし、授賞式に参加した人は一人もおらず、無視されてきました。
 ムガベ氏もそれを知ってか受賞辞退。記録は更新中です。

 ところで、今回はムガベ氏の話を掘り下げてみます。

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ムガベ氏を評価するには「独裁はあり」から?

 「中国の価値観」でムガベ氏に「平和賞」とはどういう意味があるのか。
 その前提に「独裁政治は悪ではない、選択肢としてあり」があります。

 欧米を中心とした民主国家は「独裁=悪」と条件反射で決めてしまいます。
 もし、独裁が悪ではないなら、政体の選択肢としてありならば。
 ムガベ氏の評価も変わるかも知れない。
 それが「中国の価値観」である「孔子平和賞」の本来の意義です。

 ムガベ氏はジンバブエを「アフリカの穀物庫」から最貧国へ転落させました。
 ハイパーインフレで国内経済を破綻させ国庫を借金まみれにしました。
 食料自給力は低下し、食料難にあえぐ国民は7割を超えています。
 なのに、アイス工場を作ったりチョコ工場を作ったりととんでも政策ばかり。

 しかし、ムガベ氏はジンバブエの英雄です。
 それは長年植民地として搾取してきた白人に対抗したからです。

欧米のジンバブエ批判の根底は「歴史問題」にある?

 ムガベ氏は二次大戦後のアフリカ独立の気運の中、独立運動に参加します。
 それまで英国領南ローデシアだったジンバブエ。
 国土のほとんどは白人が経営する農場であり白人の私有地でした。
 その白人達と闘い、独立を勝ち取った英雄がムガベ氏なのです。

 独立を果たし首相を経て大統領となったムガベ氏。
 最初は白人融和路線を取り、ジンバブエの発展に努めます。
 その結果、ジンバブエは大いに発展し「ジンバブエの奇跡」と呼ばれました。

 そして、地力をつけて真の「黒人国家」を作るべく政策転換。
 国土の大半を占めていた白人農場を強制徴収し、国民に再分配します。
 植民地政策という「不法占拠」から黒人が土地を取り戻すのは当然のこと。
 それが、根底にある原住民たる黒人達の思いでした。

 しかし、英国は大反発し米国などと協力して経済制裁を行います。
 企業や資本も撤退し、ジンバブエのインフラに深刻なダメージが出ます。
 そしてハイパーインフレに突入し経済は破綻していくのです。

 ジンバブエの黒人達にとってそれは誰のせいなのか?
 本来は黒人達の土地を黒人達の手に取り戻しただけのこと。
 それに難癖をつけて経済を破綻に追い込んだのはムガベ氏ではない。
 帝国主義を捨てきれない英米こそが悪なのだ。
 そう考え、そしてムガベ氏はますます英雄視されるのは当然のことです。

ムガベ氏は英米に創作された独裁者なのか?

 ムガベ氏は政権前半においては白人融和路線を取り「奇跡」を体現しました。
 それが白人農場の強制徴収という強硬路線に変更したのはなぜか?
 その理由も白人側にあったとする識者もいます。

 ムガベ氏は独立闘士でありながら、勤勉で経済や平和を理解していました。
 独立後のジンバブエに白人の力が必要なことを認識していました。
 そのため、旧来の支配層だった白人を優遇し助力を乞うています。
 それに応える形で協力体制を組み、「ジンバブエの奇跡」は成ったのです。

 しかし、ムガベ氏に協力する白人を責め立てのが同じ白人でした。
 「白人は優秀人種、黒人は劣等人種」という価値観が根強い時代です。
 黒人大統領を立て、それを支える白人という構図が気に入らないのです。

 ムガベ氏が重用した白人の仲間たちは、白人により失脚されていきます。
 ムガベ氏に白人に対する不信感、失望感が強まっていく一因となりました。

 トドメを刺したのは英国ブレア首相の態度でした。
 「植民地政策の歴史問題」は日韓だけでなく欧米にもありました。
 反発しがちな被害国は、加害国が自国に影響力を及ぼすことを嫌います。

 アフリカに介入したいブレア政権は「植民地政策を過去のもの」とします
 そして、ムガベ氏を批判することで介入の大義名分にするのです。

 アフリカには独裁者は他にもいます。
 しかしジンバブエだけが経済制裁を受けているのはなぜか?
 ムガベ氏を英米のアフリカ介入への大義名分に利用しているからです。

ムガベ氏の評価は歴史が決める?

 ムガベ氏は現役大統領であり、その評価を下すにはまだ尚早です。
 反対派を弾圧したり、独裁者の悪い面も確かに持っています。

 ただ、国土の大半を原住民ではない白人達が占領している。
 それを自国民達の手に戻し、本当の自主独立を達成したい。
 「白人農場の強制徴収」は正当な行為なのか、悪事なのか。

 そのムガベ氏を「中国の価値観」では「平和賞」に値するとしました。
 中国もまた被植民地という時代を味わった国家です。
 黄色人種としても、白人至上主義に反発する姿に共感できるというもの。

 これは、「孔子平和賞」の意義としては大きいのではないでしょうか。
 欧米追随路線の日本では絶対にできないことです。

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