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教職員3万7000人削減要請 教員は限界?データで見るとそうでもない?

time 2015/10/23

教職員3万7000人削減要請 教員は限界?データで見るとそうでもない?

 財務省が9年後には教職員を3万7000人削減するよう文科省に要請しました。
 対象となるのは公立の小中学校の教職員です。

 9年後には生徒数は1割近く減ると試算、教職員の削減は可能とみています。
 文科省は教育レベルの維持、多忙な労働環境の改善には、現行とほぼ同じ教職員数が必要としています。

 ネット上でも教職員削減には反対意見が多く上がっています。
 「教員は忙しいのに生徒が減れば教員も減らすのでは意味がない」
 「次世代を担う子供たちの教育予算を削るのか」
 「少子化対策にこそ問題があるのに」

 教員と生徒の人数比の推移をデータで分析してみます。

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公立教職員数はずっと横ばいに目をつけられた?

 1948年から現在までの公立小中学校の生徒数と教員数のグラフです。
 データ引用:総務省統計局 2024年のみ財務省試算より
 生徒数と教員数

 生徒数は第一次、第二次のベビーブームでふたつの山があります。
 そして、生徒数の減少は止まらず、2024年には875万人と試算されています。

 対して教員数は安定定期に増加し、90年以降からやや下降しつつ横ばい。
 公立の教員は公務員ですから、生徒の増減に合わせて変動していません。

 民間であれば、生徒数の増減に合わせて教員数も適正値を保つもの。
 公務員であるがゆえに、歪な構造になりつつあるのがわかります。
 それを是正しようというのが財務省の言い分です。

教職員を削減すると教員は今より多忙になるのか?

 生徒数が減っているから教員も減らす、では労働環境の改善になりません。
 教員が多忙なのは子を持つ親は良く知っているし、問題にもなっています。
 だからこそ、反対意見も多く挙がっています。

 では、教員ひとり当たりの生徒数は、どう推移しているのでしょうか。
 教員ひとり当たり生徒数

 9年後に3万7000人を削減しても、教員ひとり当たりの生徒数は減ります。
 現在は約15人、財務省の試算通りなら削減しても9年後に約13人です。

 削減しても、現在の教員よりも9年後の教員の方が負荷は軽いのです。
 親としては教員当たりの生徒数は少ないほどいいという人もいるでしょう。
 とはいえ、税金は無限ではないのでどこで線引きするかが重要です。

先輩教員に比べたら遥かに楽なはず?

 第一次ベビーブームの頃は教員ひとりに生徒が30人以上です。
 ちょうど「親世代」がそれに当たる方々も多いでしょう。
 しかし、基礎教育が不足しているという印象はあるでしょうか。

 昔は家族や地域がもっと学校と密接でしたし教育に関わっていました。
 そうでなければ、教員も30人以上の生徒を見きれなかったでしょう。

 現在の教員が多忙なのは周知ですが、技術の進歩もあります。
 昔は「お便り」は手書きをガリ刷りして配布したり、生徒の管理も帳簿で行っていました。
 今はコピー機やパソコンがあり、作業量は劇的に減ったはずです。
 本業の学力向上だって、多くの生徒は塾に通うことで負荷は下がっています。

 部活や行事や課外活動の多さなど昔と違う仕事もあるでしょう。
 それでもひとり当たりの生徒数は先輩教員の3分の1になります。
 さすがに、「教員不足」を叫ぶのは無理があるのでは?

 教育を削減する前に他の税金の使い道は見直すべきという意見もあります。
 しかし、本当に「教員不足」なのかを抜本的に見直すべきでもあります。
 財務省は文科省に「そこ、見直せよ」という意図もあるのでしょう。

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