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英中「黄金時代」 日本と米国が辿った道は教訓となるか?

time 2015/10/21

英中「黄金時代」 日本と米国が辿った道は教訓となるか?

 訪英中の中国・習近平主席が注目されています。
 両国の関係はキャメロン首相の言葉から「黄金時代」と期待されています。

 英国は近年劇的に対中輸出を伸ばしており、AIIBへの参加を欧州で一番に名乗り出るなど、対中シフトを鮮明に出しています。
 対して中国も独自経済圏構想の「一帯一路」に英国を取り込む意欲です。
 両者は蜜月関係をアピールし黄金時代を演出しています。

 中国の国家主席は初の公式訪英です。
 なぜ、中国と英国は「黄金時代」を築くまでになったのか。
 中国からすれば地球の裏側、遠い欧州のはずれにあるのが英国です。

 その背景には日本と米国が中国と距離を空けてきたことがあります。
 英国、そして欧州は日米が辿った道を繰り返すのでしょうか。

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欧州は中国にとっての「開拓地」となるか?

 世界の経済規模で中国に影響を及ぼせる国は限られています。
 GDP1位の米国、2位の中国、3位の日本、それ以降は欧州各国が並びます。

 日本は90年代から対中投資を伸ばしており、中国進出が顕著になりました。
 米国もオバマ大統領が就任後から親中路線を明確に打ち出しました。
 しかし、現在はどちらも中国から距離を置き始めています。
 むしろ、明確に「中国包囲網」の方針を打ち出して敵対し始めています。

 こうなると中国経済を好転させるほどの力を持った国は欧州しかありません。
 遥かかなた、地球の裏側まで手を伸ばさざるを得ないのです。
 中国からすれば、未開拓の欧州は「最後の手段」と言えるかも知れません。

日本が辿った対中路線とは?

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 日本は90年代から「中国投資ブーム」が断続的に発生しました。
 バブル崩壊でコストダウンが叫ばれ、生産拠点の海外移転が流行しました。
 その地に選ばれたのが、格安の労働力と膨大な市場を持った中国です。
 10億を超える人々は労働力としても、市場としても魅力の塊でした。

 バブル崩壊後の日本のデフレをけん引したのは安価な中国の生産力です。
 経済が回復せずデフレが続いたことも、ますますの連携を生みました。

 しかし、反日運動や劣悪商品の問題なども後を絶ちませんでした。
 特に毒入り餃子事件や発がん性物質の混入など、日本人が最も過敏になるといわれる食品関係の劣悪化は大問題ともなりました。

 それでも、衰退しては隆盛するを繰り返して第4次ブームまで至ります。
 2011年に対中投資額で最高を記録しますが、翌年から一気にダウン。
 その一番の理由は、中国の人件費高騰とされています。

 アンケートでは「日中関係の悪化」も高い数値となっています。
 中国撤退時に資産を日本に持ち帰れないなどの問題もありました。
 「中国進出」がリスクなら「中国撤退」もリスクとなりました。

 そして米国が「対中包囲網」と明言するTPPに参加します。
 第5次ブームはもはや望めず、ゆるゆると下降線を辿ると見られます。

 今や日本人の対中意識は「悪い」が80%以上を占めています。
 軍備拡大や歴史問題、反日運動、理由は挙げればきりがありません。
 図らずも、経済連携で深まることで日中関係は悪化した面もあります。

米国が辿った対中路線とは?

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 オバマ大統領が就任したのは2009年。親中派大統領の誕生でした。
 中国もオバマ大統領を歓迎し、米中は急激に接近していきました。
 「チャイメリカ」という言葉が生まれたのもこの頃です。

 米国は中国と太平洋を挟んで遠く離れています。
 そこで、経済的には輸出入を強化するのではなく、中国市場を米企業が開拓していく形での経済連携がなされていきました。
 中国人にとっての有名海外ブランドの上位は米国企業が並んでいます。

 ところが2010年頃から中国の米国企業は不調になり始めました。
 一番の理由はやはり「人件費の高騰」です。
 中国は対外投資先として、うまみが薄くなってきていました。

 そして2011年に米国の対中外交方針の転換があります。
 オバマ大統領は中国の台頭は経済や安全保障で影響が出ると明言。
 軍備増強の不透明性も指摘して、強硬な姿勢を鮮明にしました。

 TPPに加わった米国は日本を誘いこんで経済の対中包囲網を形成します。
 日本の集団的自衛権容認を求めたのも、この一環です。

英国が辿る対中路線はどうなる?

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 英国は米国よりさらに遠距離にあるため、貿易拡大にも限度があります。
 英国は金融業や保険業に強みがありますから、投資が主となりそうです。

 英国は中国を植民地支配した時代がありましたが歴史問題化していません。
 反日運動のような反英運動は起こらないとみて間違いないでしょう。
 海を挟んで隣接しているわけでもなく、米国が懸念する脅威にもなりません。

 英中関係に大きな阻害要因があるとすれば、米国との関係くらい。
 中国に接近すれば米国に不満が出ることをどうするかです。

 韓国もそうでしたが、中国に接近すると米国と軋轢が生じます。
 英国は韓国と違って米国と距離を取っても問題ない大国です。
 しばらくは英中黄金時代を継続したいのではないでしょうか。

英国そして欧州がチャイナリスクを知る日は来るか?

 米国が進める「価値観外交」に中国は加わることはありません。
 共産主義、一党独裁を貫く中国を「価値観が異なる」としているからです。
 この「価値観の相違」は国家の統治法だけのことではありません。

 日本に住む人なら感じてきた「中国の非常識」がそれです。
 食品に関する意識、教育、法治、公害、人権、挙げればきりがありません。
 これらがいつ「チャイナリスク」として英国に襲いかかるのか。

 そんな日が来ないことを望みますが、それは叶わぬ夢でしょう。
 中国の最後の切り札、英国・欧州が中国と距離を空けたときどうなるか。

 「価値観が異なる」からどうなるかは予想できません。

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