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失踪外国人研修生が難民申請 これは難民問題ではなく「賃金と貢献度」の問題

time 2015/10/19

失踪外国人研修生が難民申請 これは難民問題ではなく「賃金と貢献度」の問題

 「外国人技能実習制度」で来日した外国人が失踪したあとに難民申請を経てから就労している問題が指摘されました。

 この問題は難民制度の利用であって「難民問題」とは関係のない話です。
 流れは以下の通り。

 1.「外国人技能実習制度」で来日。低賃金、残業代未払いなど環境劣悪。
 2.研修先から失踪し難民申請する。当然、申請は通らない。
   難民申請から半年経つと生活支援のため就労が認められている。
 3.半年後に就労。自分で仕事を選べる。

 不法滞在による強制帰国を難民申請することで回避しているということ。
 難民申請者は自身が難民であるとは思っていません。

 この問題はむしろ、「五輪にはボランティアで働けるエンジニアが必要」という発言で話題となった問題の方に近いです。
 ビジネスパーソンなら意識せざるを得ない「賃金と貢献度」の話です。

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悪名高き「外国人技能実習制度」の本来の意図は?

 「外国人技能実習制度」は労働環境の劣悪さが度々取り沙汰されています。
 低賃金で外国人を労働させる制度と、わざとなのか勘違いしているのか、そんな悪徳事業者が後を絶ちません。
 外国からも「強制労働に悪用される」として批判されています。

 もちろん、制度の目的は非常に明るいものです。
 「日本で培われた技術等を開発途上国へ移転し人材育成を支援すること」
 いったん、悪徳事業者の話を脇に置いて、本来の姿で話を進めます。

 目的をみればわかりますが、技術者の育成支援が目的となっています。
 ゆくゆくは自国へ帰って、技術を活かして国家発展に役立ててほしい。
 金をばらまくのではなく、ソフト面での途上国支援です。

 また、日本に残って働き続けてくれれば労働者不足の解消になります。
 特に技術によっては慢性的な人材不足も散見されます。
 少子化による労働人口減少の対策にもなります。

 しかし、研修中は低賃金です。
 これは「悪用」ではなく、技術職なら当然のこと。
 それが「日本を夢見た」外国人からは耐えられないということでしょう。

研修中の低賃金は当然のこと?金払えというケースも

 会社の「賃金と貢献度」を表すグラフがあります。

 最初の3年までは賃金が貢献度を上回っています。
 高度な技術であれば賃金が貢献度を上回る期間はもっと長くなります。

 この期間を仮に「研修期間」とします。
 研修期間は事業者からすれば「赤字」の状態が続いていることになります。
 これは技術水準がある程度高まり「賃金<貢献度」になるまで続きます。

 研修期間は事業者としては「金を払って欲しい」くらいなのです。
 ましてや、一人前になったら退職された、とあっては損しか残りません。
 だから研修期間が低賃金なのは当然、貰えるだけありがたいというもの。

 研修期間が少ないとはいえ賃金が発生するのは、褒めるべきことです。

「五輪にはボランティアで働けるエンジニアが必要」も同じ問題?

 日本IT団体連盟の発足で荻原紀男氏の発言が大きな話題となりました。
 「五輪にはボランティアで働けるエンジニアが必要」
 「今後5年間で4万人のエンジニアを育てなくてはいけない」

 発言の真意を「国からIT人材育成のための予算を取るひとつの手段がボランティアである」、「国の予算で育ててもらったことに対して、1カ月間のボランティア活動で恩返しをする」と述べています。

 つまり、研修期間の賃金を出してくれた国に、恩返しをする。
 それが五輪期間中のボランティアによる協力ということです。

 これをIT業界のブラックぶりを示す発言だと批判も上がっています。
 しかし賃金と貢献度の関係を見れば、それほど筋違いとは思えません。

 外国人に限らず、新人は技術習得までは何ら戦力になりません。
 それを耐えて育てて、数年経ってようやく戦力となります。

 国が育成に掛かる金を支援してくれたのなら、返さないと割が合いません。
 これは「賃金と貢献度」の関係をみれば普通の感覚です。
 それがあるから貢献度の低い新人に、賃金を払えるのですから。

 雇っている企業で賃金を出しながら五輪を手伝わせろという声もあります。
 しかし、人材の流動が激しく転職が横行しているのもIT業界の特徴です。
 国が育成支援した会社から、すでに転職しているケースが出るはずです。

 最適の方法がボランティアかはわかりませんが、本題は理解できます。

「外国人技能実習制度」を捨てた先にあるのは?

 「外国人技能実習制度」から失踪し難民申請した外国人は、自由に就労できるようになったとはいえ、コンビニバイトなどが関の山です。

 本来は「技術」という強力な武器を身につけて本国でも日本でも、戦力となって働いていくというのが狙い。
 それが技術と程遠いコンビニバイトでは、途上国支援にもなりません。

 そもそも、制度を利用して来日する外国人にも「稼げれば何でもよい」という程度の目的意識しかないというところにも問題があります。
 もちろん、国自体が日本より遥かに貧しいところからきた人達。
 日本人と同じ感覚で目的意識を持てというのは酷なのはわかります。

 しかし技術は一朝一夕で身に着くものではありません。
 まずは、その点を教育させるところから始めないといけないのかも。

 「外国人技能実習制度」は悪徳事業者の問題もあり、見直しが必要です。
 根本的な教育から必要、されど当人はすぐに稼ぎがでないと生活できない。

 北朝鮮の食料危機にドイツが繁殖用の食用兎を送ったら、繁殖せずにすぐ食べてしまった事件を思い出しました。難しいものです。

 ところで、難民申請して半年したら就労できるという制度。
 これが通るなら、不法滞在している繁華街のホステス達もできるのでは?
 こちらの対策も必要でしょうが、本物の難民にも影響するから難しそうです。

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