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JASRACからエイベックスが離脱 テレビ業界を見ると頓死の可能性も?

time 2015/10/16

JASRACからエイベックスが離脱 テレビ業界を見ると頓死の可能性も?

 エイベックスが音楽著作権協会(JASRAC)から離脱する手続きを始めました。
 独占状態だった音楽著作権の世界に激震が起こるか、注目されています。

 音楽業界最大手のエイベックスは約10万曲の権利を有しています。
 JASRACは約300万曲を管理しており、最大手といえども全楽曲の3%程度。
 但し、EXILEなど有名アーティストを数多く抱えており影響力は大きいです。

 エイベックスは系列のイーライセンスに委託する方針です。
 イーライセンスはJASRACの競業相手で音楽著作権管理を行う企業です。
 イーライセンスは同業のジャパン・ライツ・クリアランスと経営統合を進めており、事業規模を拡大する予定です。

 背景にあるのは、今年4月の最高裁判決。
 JASRACの「包括契約」が「他社の参入を困難にする」と判断しました。
 これを受け、JASRACは「包括契約」の見直しを迫られることになります。
 
 テレビ局がこの動きをどう判断するのかも注目です。
 場合によっては、エイベックスといえども頓死の可能性も否定できません。

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悪名高き「包括契約」とは?

 音楽著作権を最も利用している業界のひとつはテレビ放送です。
 どの番組でも音楽がないものはありません。
 そのほとんどすべてに著作権が発生しています。

 本来、楽曲使用料はどの曲を何度使ったかに対して支払いが発生します。
 しかし、あまりに使用数が多いために管理する作業が煩雑になります。
 そこでテレビ局はJASRACと「包括契約」を結んでいます。

 「包括契約」は「定額使い放題」という契約です。
 利用者側からすれば楽曲使用の管理作業をなくせる、ありがたい契約です。
 しかし、「包括契約」は「独占禁止法違反」ではないかとされていました。

 「定額使い放題」であれば他社の有料の楽曲を使いたいと思いません。
 そのため、競合他社が参入できない状況になっていると判断されました。

放送局から見れば「包括契約」はないと困る?

 利用者からすれば「包括契約」がないと膨大な作業が発生します。

 楽曲のダウンロードや、ネット配信動画の視聴を想像してください。
 1日に数十件を見るとして「使い放題」がなかったらどれだけ面倒か。
 テレビ局の取扱量はとんでもない数になります。

 社内制作では番組ごとの楽曲リストが必要になります。
 委託制作している番組で、リストを提出してもらう必要もあります。
 挿入曲だけでなく、出演者が「鼻歌」で歌った楽曲なども対象になります。

 さらに、DVD販売やネット配信する番組は別個で報告する必要があります。
 CS放送や海外テレビ局へ番組を販売することもあります。

 特典映像があれば、テレビ放送の楽曲リストに追加が出ることもあります。
 楽曲使用部分を編集でカットすればリストから削除する必要もあります。
 その作業とそれに掛かる人件費は、とんでもない量になります。

 地上波放送以外の包括契約を結ぶかは、テレビ局ごと違いがあります。
 しかし、ネット配信の普及でむしろ「包括契約」の要求は高まりました。

 番組×ダウンロード数×楽曲リストで音楽著作権料の支払額が決まる。
 ネット配信の番組数が少ない内はいいですが、今はもう無理です。

イーライセンスはエイベックスの系列会社ということは?

 音楽著作権業界に「定額使い放題」に変わるサービスが必要です。
 利用者の作業が煩雑にならず、他者の参入を排除しないサービスが。
 そのような都合のよいサービスがあるのでしょうか。

 ひとつの答えをイーライセンスは持っているのだと思われます。
 イーライセンスはエイベックスの系列会社で2000年に設立されています。
 JASRACの包括契約を裁判に持っていったのもこの会社です。

 エイベックスはこれまでJASRACに楽曲管理を依頼していました。
 なぜ、系列会社に競合企業を持ちながらJASRACへ依頼していたのか?
 それは「包括契約」の存在があるからに他なりません。

 それが、エイベックスがJASRACから離脱しイーライセンスへ移管する。
 「包括契約」がなくなり、新たなサービスでテレビ局と契約する。
 そのときには、イーライセンスとして契約するということです。

 イーライセンスは自力で「包括契約」の壁を壊して道を開きました。
 ここで業界の地図を塗り替える腹案を持っていないはずがありません。

エイベックスに追随する者がいなければ頓死も?

 とはいえ、JASRACの優位は簡単には揺るぎません。
 楽曲数が全然違いますし、使用料の徴収能力も違います。

 「包括契約」がなくなれば多少なりとも利用者の負荷は高まります。
 そこに、これまでほぼJASRACのみを相手にしていれば良かったのが、イーライセンスが加わって管理団体の分けも必要になるのです。

 最悪のケースとして、楽曲数の少ないイーライセンスの楽曲は出来るだけ使わずJASRAC一本に絞るということもありえます。

 イーライセンスはサービス競争で優勢に立って、著作権保持者がJASRACからイーライセンスへ移管する流れを作る必要があります。

 これがうまくいかないと、エイベックスは頓死の可能性もあります。

 これまで「カスラック」と揶揄されたJASRACの一強時代が続きました。
 今、崩壊への道が見えましたが、いまだにその壁は高いのです。

 イーライセンスはゲーム業界会社など新しい分野も狙っています。
 昨今、若者に大人気の「ボカロ楽曲」あたりを取りこめばもしや?

 何せ10代のカラオケトップ10の大半はボカロ曲。
 10年後には彼らが主力世代になるのですから、期待値は大きいです。

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