ナレッジ ウォーカー 「時事散策」

軽減税率はなぜダメなのか? 消費税還付案の白紙撤回で他に対案なし?いやある!

time 2015/10/14

軽減税率はなぜダメなのか? 消費税還付案の白紙撤回で他に対案なし?いやある!

 消費税10%引き上げに伴う負担軽減案として、財務省が提案した「消費税還付案」を白紙撤回する方針を明らかにしました。

 世論調査では「負担軽減案は賛成多数、消費税還付案は反対多数」でした。
 カナダなどが採用している「消費税還付案」ですが、EUなどが採用している「軽減税率案」で再検討する方針とみられます。

 しかし、軽減税率には識者からも反対の声が相次いでいます。
 なぜ、欧州型の軽減税率はだめなのか?
 識者の反対の理由を解説します。

sponsored link
軽減税率で得をするのは高所得者という矛盾?

 軽減税率とは一定の品目に対して税率を低くする制度です。
 欧州では食料品などが対象となり、食料品でも贅沢品は対象外です。

 食料品は所得に関係なく消費するため、低所得者救済措置とされています。
 しかし、実際には高所得者ほど恩恵を受ける制度になっています。

 低所得者ほど、所得に対して食料品に費やす割合は高いです。
 月収10万円の人が、食費を切り詰めて2万円分の食料品を買うとします。
 月収100万円の人は、良い食材を買って10万円分の食料品を買うとします。

 軽減税率は絶対額でみれば、高所得者に対しての恩恵が大きくなります。

 さらに、高所得者は贅沢品の購入を行うケースが多いです。
 贅沢品は軽減税率対象外ですが、線引きは難しいのが実情です。
 業界の働きかけなどもあり、軽減税率対象になるものも出てくるはずです。

 その贅沢品は低所得者は頻繁に購入できないもの。
 高所得者が主な購入者となります。
 高所得者が受ける恩恵はますます大きくなります。

 軽減税率によって税収は減ります。
 その減った税収は、本来は低所得者に対して使われるべきだったはず。
 しかし、実際には減った税収は「高級食材」や「贅沢品」を購入する高所得者に対して使われていることになります。

消費税還付案ではなぜダメなのか?

 軽減税率の問題点は、その減税効果が高所得者に向けられることです。
 であれば、対案は減税効果が低所得者に向けられる必要があります。

 そのひとつは、実は撤回された「消費税還付案」です。
 一旦、通常税率で消費税を徴収して、低所得者に還付する方法です。
 これであれば、低所得者にピンポイントで還元できます。

 この案に世論が反対したのは「方法」に問題があったからだと思われます。
 実現方法として、世論が危険視している「マイナンバー」を提案しました。
 「消費税還付案」に反対したというより、「マイナンバー」に反対したという面が大きかったと思われます。

 個人がどれだけ消費したのかをチェックすることは大変です。
 「消費税還付案」は風見鶏の捨て駒という見方もあり、最初から否定されることを見越して世論喚起に提案されたものという人もいます。

軽減税率がダメなら対案はあるのか?

 対案は大きく2つあります。
 1.低所得者に一律還付案
 2.所得税の累進性拡大案

 低所得者に一律還付案は、ベーシックインカムだと考えてください。
 消費税とは切り離して、一律で低所得者に還付します。
 消費税と無関係になるので「還付」というより「給付」です。

 所得税の累進性とは、所得が多い人ほど納税額も多くなるというものです。
 これを拡大することで、低所得者に減税効果が及ぶようにします。
 高所得者の税率はそのままに、低所得者の税率を引き下げるのです。

負担軽減案は不要という世論もある?

 軽減税率は一部業界の優遇にしかならず、利権を生みだすだけです。
 その上、高所得者の方が恩恵を受けるという矛盾があります。

 マイナンバーを使った消費税還付案を先に出して世論に反対させ、次いで軽減税率を出して「これならいいか」と納得させる。
 そんな作戦が見え隠れしていますが、軽減税率こそ悪法です。

 軽減税率は複数税率制なので、システム的に煩雑になる欠点もあります。
 かといって、負担軽減案は不要とするのは尚早です。
 まだほかにも案はあるので国民的議論を広げることが大事です。

 「消費税還付案」は悪、「軽減税率」は善。
 そんな二元論やレッテル貼りにならないようにして欲しいです。

 個人的には、負担軽減案はいらないと思います。
 8%から10%に引き上げって、多大な投資をして新たな制度を導入するほどのものでもないと思うのですが。

sponsored link

down

コメントする






sponsored link

カテゴリー

アーカイブ