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孔子平和賞に独裁者ムガベ氏 価値観の共有できない中国の「平和」とは? 

time 2015/10/12

孔子平和賞に独裁者ムガベ氏 価値観の共有できない中国の「平和」とは? 

 ノーベル平和賞がチュニジアの「国民対話カルテット」に決まりました。
 その裏で、ノーベル平和賞に対抗して作られた孔子平和賞も発表。
 今年は世界屈指の独裁者、ジンバブエのムガベ氏が決まりました。

 孔子平和賞は「中国の価値観」で世界平和に貢献した人物に与えられる賞。
 ノーベル平和賞の「欧米の価値観」に対抗して創設されたものです。
 つまり、ムガベ氏は中国の価値観では世界平和に貢献した人物ということ。

 最終選考にはムガベ氏と並んで村山富一元首相が挙げられていました。
 中国の価値観では村山氏はムガベ氏と並ぶ世界平和への貢献者なのです。

 2010年に創立した孔子平和賞も今年で6度目。
 その受賞者達から「中国の価値観」を見ていきます。

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カストロ、プーチン、アナン、「中国の価値観」とは?

 孔子平和賞は劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に対抗して創立されました。
 劉暁波氏は民主化活動家で、いわば中国政府とは敵対関係にありました。

 それを「欧米の価値観」「少人数による偏った選考」と批判しています。
 孔子平和賞はネット投票により広く選考を行ったと発表しています。
 ただ、孔子平和賞の投票サイトは存在を確認されていません。

 過去の受賞者は中国国籍外に限ると、ムガベ氏で5人目です。

 2010年 連戦    台湾(中国からすると同国人)
 2011年 ロシア   ウラジミール・プーチン
 2012年 ガーナ   コフィ・アナン
 2014年 キューバ  フィデル・カストロ
 2015年 ジンバブエ ロバート・ムガベ

 ノーベル平和賞から1ヵ月余りで急遽創立した孔子平和賞。
 栄えある第1回の受賞者は、台湾の連戦氏でした。

 いきなり中台問題を「世界平和に貢献」とする辺り、どうなのでしょう。
 中国の立場は中台問題は国内問題。「世界平和」ではないはずです。

 ちなみに、孔子平和賞はすぐに解体され、母体が代わって継続されます。
 連戦氏を選出したことが上から咎められたのでしょう。

 その意味では、第2回からが「中国の価値観」の本番とも言えます。
 共通点は「独裁」?「親中」?「反米」?

マイルドから先鋭化してきた?

 仕切り直しの2011年に受賞したのはプーチン氏。
 中露関係は歴史的に悪いイメージですが、2011年頃は蜜月と言われました。
 政治・経済の両面で協力関係を築き、欧米への対抗路線を明確にしています。

 そんなプーチン氏を孔子平和賞に決めたのは、タイミングとしては正解。
 ただ、理由は「リビア内戦によるNATO空爆への反対」です。
 中露関係の改善が「世界平和への貢献」とは言えなかったのでしょう。

 続いての2012年にはアナン氏。国連事務総長だった方です。
 アナン氏は2001年にノーベル平和賞を受賞しています。
 つまり「中国の価値観」と「欧米の価値観」が重なったということです。

 アナン氏は米国の覇権主義を激しく批判したことでも知られます。
 その辺りが「中国の価値観」に合致したのは間違いありません。

 孔子平和賞は、2010年の創立でいきなり解体されるという一時から復活。
 そのため、復活後の2年は「上を伺いつつ無難に」という印象を受けます。
 お上が気に入らない人を選出すれば、鶴の一声で解体されますから。

 2013年は国外からの受賞者はなし。
 そして、2014年から孔子平和賞は先鋭化していきます。

独裁者を次々に選出?テーマは反欧米?

 2014年に受賞したのはキューバのカストロ氏です。
 キューバ革命を起こした「チェ・ゲバラ」と並び有名な革命家です。
 共産党一党による「独裁」により統治しました。

 キューバは「アメリカの喉元に突き付けられた短剣」と呼ばれました。
 地政学的にアメリカの至近距離にある共産国家だったからです。
 中国はそんなキューバを支援し蜜月関係を築きます。

 共産党の一党独裁である中国で、同じ共産党の一党独裁であるキューバを「独裁国」とは呼ばないのは当然です。「中国の価値観」を明確に出してきました。

 そして2015年のムガベ氏。
 白人排斥を行いジンバブエの独裁者となった人です。

 ジンバブエといえばハイパーインフレでも有名です。
 それもムガベ氏の白人排斥からの経済崩壊が原因です。
 かつては「アフリカの穀物庫」と呼ばれた国を崩壊させた独裁者です。

 白人の経済植民地に対抗して強権を発動してきました。
 こうでもしないと原住の黒人を主体とした国家は設立できません。
 結果的に失敗していますが、欧米だけが利する資本主義からの脱却という観点では、目指したものは評価できると見ることもできます。

 ただ、一族の私腹を肥やす資源占有などフォローできない面が多々あります。
 政治は結果責任とすれば「平和賞」を受賞するに値しないのは確かです。

選ばれなかった候補者たちは?

 選ばれなかった候補者たちからも「中国の価値観」は読み取れます。

 2014年には鳩山由紀夫元首相や韓国の朴槿恵大統領が候補に挙がりました。
 「東アジア共同体構想」を掲げた鳩山氏。
 米国の反対を振り切って中国に接近している朴槿恵大統領。

 元CIAで亡命中のスノーデン氏、シリアの独裁者とされるアサド大統領。
 反欧米色は明確に打ち出されています。

 2015年は日本からは村山富一氏と福田康夫氏。
 村山富一氏は「村山談話」で有名な人です。
 福田氏は、習近平氏と会談するなど日中関係回復へのパイプ役。

 福田氏を候補に挙げる辺りは、日中関係改善を重視している証拠です。
 裏を返せば、中国経済が本当にまずい状況にあるとも読み取れます。

 国連の潘基文事務総長、韓国の朴槿恵大統領は2年連続。
 欧米の高官不在の中で、軍事パレードに出席したご褒美でしょうか。
 なかなか、「中国の価値観」はわかりやすいです。

 「中国の価値観」による「平和」が読みとれたでしょうか。
 違いを埋めて、中国と日本とで「平和」を共有することは難しそうです。

 安倍首相はことあるごとに「価値観の共有」の重要性を訴えています。
 この言葉は真摯に受け止めて、異なる価値観の存在と向き合う「外交」の難しさを、国民も理解してければないけないですね

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