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民放が手を組んだ「TVer」はドガッチの二の舞となるか?

time 2015/10/02

民放が手を組んだ「TVer」はドガッチの二の舞となるか?

 テレビ番組の無料ネット配信「TVer」が10月26日から始まります。
 民放5局が手を組んだ「無料」という試み。
 見逃し配信を各局を横断的に検索できるというのが強みのサービスです。

 民放各社はそれぞれにオンデマンドを行っています。
 そのポータルサイトとなるのが「TVer」だとか。
 局間のマタギがどの程度シームレスになるかが注目されます。

 ところで、ドガッチって知ってますか?
 民放5局が手掛けたネット配信ポータルサイトです。
 今も運営中ですが、知名度は推して知るべし。

 TVerも二の舞とならなければよいのですが・・・。

ドガッチ、もっとTV、そして「TVer」へ…

 民放5局が手を組んでネット配信していこうというのは過去にもありました。

 2006年にサッカーW杯に合わせて始めた「ドガッチ」が、最初です。
 民放各局がそれぞれにオンデマンドサイトを運営するなかで、横断的に検索できるポータルがあれば、という考えからスタートしました。

 「豆しば」のブームで知名度が向上するかと思いきや、一気に収束。
 事業内容も各局への誘導がメインなので、積極的なテコ入れもなく。
 ドガッチ経由で番組探しをしている人はどの程度いるのかは謎です。

 2012年に始まった「もっとTV」もオンデマンドサービス。
 こちらはパソコンの視聴を切り捨て、 インターネットテレビとスマホを対象としたサービスです。

 mottotv

 3年もたずにサービス終了。
 あくまで据え置きテレビ、スマホのテレビ機能という「テレビ」にこだわったがゆえの失敗とも言われています。

 「TVer」は「もっとTV」終了時に後継サービスのように構想が発表されましたが、実質はまったくの別物。見逃し配信を「ドガッチ」に寄せたような内容となっています。

 民放各局の迷走ともいえるネット配信の歴史。
 そもそも「民放各局が連携」というのが高過ぎるハードルなのです。

民放各局の連携など夢のまた夢?

 民放各局を繋げる組織として「民放連」があります。
 民放が一丸となって「テレビ離れ」を食い止める、その旗頭が民放連だ!
 と、想像する方がいれば大間違いです。

 テレビ局は放送法という利権を有し、それぞれが大企業です。
 その幹部ともなれば、テレビ全盛時代に栄華を誇った人達。
 彼らが集まって、意見が対立した時にまとまるわけがないのです。

 ネット配信事業では、そこに広告代理店が入り込んできます。
 電通や博報堂と聞けば、彼らもまた栄華を誇った人達です。

 共通利益のためには団結しますが、うなくいかないときに指導力を発揮しようという局はありません。
 ドガッチは各社が出資したプレゼントキャストという会社が運営しています。
 他社にテコ入れするなら、自社のオンデマンドサービスにテコ入れしようとなるのは、当然の流れなのです。

なぜサービスが次々に立ちあがるのか?

 ドガッチ、もっとTV、TVerと次々に打ち出されるサービス。
 これ、全部ドガッチ内の新規サービスではダメなのでしょうか?

 知名度低迷の理由のひとつに継続してメディアで取り沙汰されるような目玉商品がないことが挙げられるでしょう。
 テレビ局が噛んでいるのですから、その気になればやり放題です。

 しかし、「ドガッチ」に続いたのは「もっとTV」という別サービス。
 ドガッチの名前で出来ないのは、これ電通が主体だからです。

 ドガッチは広告代理店4社、もっとTVは電通のみ。
 大人の事情があるのはよくわかりますが、視聴者には関係ない話です。
 これで「ドガッチ」も「もっとTV」も知名度が上がらないのですから、話になりません。

 「TVer」はプレゼントキャストがシステム提供するようですから、ドガッチの新規サービスとしてもいいものですが。

 ドガッチは諦めたのか、また別の大人の事情があるのでしょうか。

 民放各局のコンテンツを横断的にする前に、統合できるものがあるような気もしますが。

テレビ局のネットアレルギーが原因?

 「もっとTV」は2012年に開始しました。
 パソコンを除外し、据え置きテレビとスマホに狙いを絞ったのはなぜか?
 そこからは、テレビ局のこだわりを感じます。

 本来、制作と放送は切り離せるはずです。
 地上波でも、衛星経由でも、ケーブルでも、ネットでも、放送方法は何でも良いはずが、テレビ局は地上波放送にこだわります。

 これは社内の構造がずっとそうなっていたからです。
 ドラマやバラエティの制作局は、地上波の番組しか作りません。

 ネット配信用の番組を作るのは、ネット配信をする部局のスタッフです。
 オリジナルDVDであれば、DVD事業の部局で作ります。
 社内委託もありますが、部局を越えた協力体制には程遠いものです。

 地上波に関わる者が権限が強いのです。
 ネット配信などは、おまけという感覚です。

 この風潮はテレビというビジネスの歴史によるところが大きいですが、2005年にあったフジテレビとライブドアの対立も影響しています。

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 「テレビを殺す」と言った堀江氏が武器にしていたのはネットです。
 それまで王様だったテレビ業界に公然と歯向かった相手の武器ですから。
 アレルギーになるのもわからなくもありません。

「TVer」は流行らない!と断言できる?

 今回の「TVer」でテレビ業界が大々的にネット配信を主軸とするように「舵切り」したとはとても思えません。

 視聴無料でCMを流す新しいビジネスに挑戦する心意気はすばらしい。
 しかし、同時に各局は自前のオンデマンドサイトを運営しています。

 そちらは課金ビジネスでやっているのですから、どこまで「TVer」に本腰を入れてくるかは疑問です。

 むしろ、今までの繰り返し。
 テレビ局は丸投げして、あとは我関せず。
 売れそうなコンテンツは提供しない。

 そんな未来が透けて見える気がします。
 いつかはネットアレルギーのない世代に交代することを期待します。

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