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NHK受信料がついに義務化?提言まとまる なぜスクランブルではなく義務化なの?

time 2015/09/25

NHK受信料がついに義務化?提言まとまる なぜスクランブルではなく義務化なの?

 自民党の放送法改正の小委員会はNHK受信料の「支払い義務化」を求める提言をまとめました。この提言を受けて、NHKや総務省は徴収方法や不払い者の罰則、値下げなどを検討します。

 提言ではテレビの有無に関わらず世帯ごとに徴収するドイツの例を参考にすべきとされており、ネット上では「テレビがなくても払うのか」という声が上がっています。

 以前からネット上では、料金を支払う契約者だけが受信できる「スクランブル放送」を導入すればよいという意見が多くあり、反発が過熱することは必至です。

 許すまじNHKの気運が高まりますが、NHKにも言い分はあります。もはや放送法は時代に取り残されつつあり、見直しを図るタイミングが来ているのです。

 どう収まっても受信料義務化問題は混乱必至なのです。

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降って沸いたわけではない?「義務化」の検討

 NHKの受信料は受信設備を設置している世帯を対象に徴収しています。
 テレビ、ワンセグ端末、CATV、チューナー付きパソコンやカーナビなど。
 受信設備もずいぶんと多様化が進みました。

 そんな中、2005年くらいから民法各局で「見逃し配信」や「アーカイブ配信」が広がり、一般化してきた背景があります。

 NHKはあくまで受信料で経営されるべきで、付帯事業から収入を得るべきではないとされていました。つまり、ネット配信するならそれは公共放送の本業ではない「付帯事業」だから無料で行うべきということ。

 それが2007年に放送法が改正され「営利目的としない」「受信料とは別会計」を条件に認められ、2008年からNHKオンデマンドがスタートしました。

 そして東日本大震災で特例としてニコニコ動画にNHKの放送を流します。
 これが好評を博し、テレビとネットの同時放送に向けて動き出します。

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 「過去に放送したコンテンツの再放送」と「同時放送」はまったく別です。
 ネット配信がNHKの付帯事業から本業の一部に代わるということ。
 当然、受信料の徴収範囲にも見直しが必要になってくるのです。

受信料義務化ならテレビの有無は関係ない?

 受信料を義務化した場合の具体的な徴収方法はこれから検討です。
 ただ、イギリスやドイツの制度を参考にするように提言されました。
 そしてここにも登場するのが、マイナンバーです。

NHK受信料:自民小委が「義務化」を提言
毎日新聞 2015年09月24日

NHKや総務省に対し、NHKの受信契約の有無に関わらず受信料を徴収する「支払い義務化」を求める提言をまとめた。

支払率は76%(14年度末現在)にとどまる。また、インターネットでの放送番組の同時配信の本格実施に向けて、ネット視聴者の負担のあり方がNHK内でも検討課題になっている。

不払い者に罰則を科す英国や、テレビの有無に関わらず世帯ごとに徴収するドイツの公共放送の例に言及。これらを参考にしつつ、マイナンバー制度の活用などを含めて制度を検討するよう求めた。

NHK広報局は、NHK内でも受信料制度の「研究」に着手しているとした上で「視聴者・国民の理解を得られることが何より重要で不可欠」との見解を示した。

 英国では不払い者に罰則を科している。
 ドイツではテレビの有無に関わらず世帯ごとに徴収する。
 これを参考にして検討するようにとのことです。

 受信設備の有無が関係ないなら、機械的に「世帯」と会社であれば「事業所」を割り出して、すべてから徴収すればよいことになります。そして不払い者には罰則です。これで未払い問題は解決です。

 あとは「世帯」の割り出し方として、マイナンバーなどを検討せよということ。

 この提言にNHKが乗らないわけがありません。
 総務省も「放送法が時代遅れ」なのは間違いないので変更に動くでしょう。

 この流れ、最大の要は「国民の理解を得られるか」にあります。

ドイツではテレビがなくても支払い義務がある

「受信料徴収」だって国民の理解は得られていない?

 そもそもNHKの受信契約に国民の理解は得られているのでしょうか?
 放送法第64条には以下のようになっています。

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

 細々と例外に関する条項もありますが、概ねはこれです。
 この「契約をしなければならない」という部分、問題になっています。

 契約を結ばなければ支払いの義務はありません。
 契約が義務でも契約書にサインしなければ契約は成立しません。

 この矛盾点を突いた「受信契約を断る方法」などはネット上でもたくさんみつけることができます。
 裁判でも「義務だからサインなしでも契約成立とみなした」とするNHK側が敗北した判例があります。

 また、NHKだけ映らないテレビが注目を浴びました。
 設備としてNHKだけ受信しない仕組みなのか、受信はするが映像化できない仕組みなのかなど、受信設備の内部構造にまで議論が発展しました。

 全世帯の76%が支払っているとはいえ、これだけ話題が集まる時点で「理解して」受信料を支払っている人の割合はいかほどかわかったものではありません。

もうひとつの選択肢 スクランブル放送はなぜダメなの?

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 「スクランブル放送にすればいいじゃないか」という意見は昔からあります。
 しかし、NHKはスクランブル放送を完全に否定しています。

なぜ、スクランブルを導入しないのか

 長いので要点をまとめます。
 スクランブルがダメな理由ではなく、受信料が良い理由になっています。
 それを踏まえないとわかりづらい文章になっています。

  • 全国どこでも放送を分けへだてなく視聴できるようにする、という公共放送の理念と矛盾する
  • 海外の公共放送でもこのような方法を採用しているところはない
  • スクランブル方式では「よく見られる」番組に偏り、内容が画一化していく懸念がある
  • 社会生活の基本となる情報を、市場原理によらず、公平かつ安価に提供することに努めることは、公共放送としての責務

 どれひとつとして、スクランブルがダメな理由になっていません。

 スクランブルだと全国どこでも視聴できなくなるのでしょうか?
 受信料だと全国で視聴できてスクランブルではできない理由がありません。

 海外の公共放送が採用していないから日本で採用しない理由も不明です。

 「よく見られる」番組に偏って内容が画一化するのは、制作側の事情です。
 それも今の視聴率は大丈夫で、スクランブルだとダメなのかは不明です。

 民法は観たいがNHKは観たくない人から受信料を徴収するのが公平だとでも?

 NHKはスクランブル放送の導入しない理由をまじめに説明する気はないようです。これでは「国民の理解」は得られないでしょう。

 受信料が世帯契約なのに、スクランブルは個人契約となり、その差を埋める良い方法がないとか、具体的に難しい理由がないと厳しいです。

 受信料義務化のための放送法改正のとき、必ずスクランブルではなぜダメかが問われます。のらりくらりとかわす気なら、渋谷で大規模デモが必要ですね。

受信料義務化が成れば、受信料は値下げされるのか?

 かつて受信料義務化が議論されたときは値下げとセットとされてきました。
 今回の提言でも、そのことが指摘されています。

佐藤委員長は委員会後、記者団に「未払いの24%が納めれば、今より割引できる。総務省とNHKはしっかり考えて提言に応えてほしい」と述べた。

籾井勝人(もみいかつと)会長は国会答弁で義務化を歓迎するも、値下げについては、放送センター建て替えなどを理由に慎重な姿勢を示している。

 NHK側は値下げには慎重です。
 営利企業ではないですから「儲け」を気にしている訳ではないはずです。

 でも、潤沢な資金があればやれることは多いですから。
 いろいろと煤けて見える気もします。

 受信料値下げで過去に揉めた菅官房長官は、2割値下げを要請しました。
 改めて24日の記者会見でもそのことに触れて、要請しています。

 NHK側がどう反応してくるかは今後に期待です。

 しかし「国民の理解」という点では、他の要素も入ってきます。
 NHK職員の平均収入は1200万円です。
 これに各種手当が上乗せされると1800万円近くになるとか。

 受信料の値下げができないなら、給与を減らせばいいじゃない!
 国民がこう思えば、理解を得るなど到底できません。

 しかも、受信料収入は過去最高を記録しています。
 76%の受信料で過去最高ですから、義務化で100%になればどうなることか。

 それでも「金が足りない」と値下げに応じないのでしょうか。
 国民は金ばかり掛かってちょっと画質が上がるだけの4Kテレビなんて欲していませんよ!

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NHKの公平とは誰からみた公平か?

 最後に、NHKの視聴者は高齢者が圧倒的に多いです。
 テレビの視聴率は一般には番組全体の数値しか出ませんが、番組ごとに男女別・年齢別に集計されています。

 NHKは圧倒的に高齢者の視聴率が高く、低年齢になるほど低いです。

 まじめな番組ばかりだから仕方ないと見るのか。
 世代間の不公平と見るべきか。

 NHKが視聴者に公平な放送を理念とするなら、低年齢層でも観たくなる番組を制作する必要があります。男女・世代に対して視聴率が均等になってこそ、公平というものでしょう。

 そうならないのは、高齢者向けのコンテンツに偏っているから。
 これは公平とは言えません。

 観たい番組を放送もせずに、受信料だけ義務化しようというから反発が起きるのです。みんなが観る価値があると認めるコンテンツに溢れていれば、国民の理解は広がることは間違いありません。

 結局は良いコンテンツを提供することが、至上命題なのです。
 公共放送といえどテレビはテレビ。民法と同じです。

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コメント

  • スクランブルかけない理由は、NHKが潰れてしまうから。本当は、誰からも必要とされない、自称公共放送だからです。NHKに費用対効果がないことはNHK自身がよく分かっている。

    by ひで €2016年9月8日 04:59

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