ナレッジ ウォーカー 「時事散策」

ヒト受精卵に遺伝子操作 欧米で大論争も冷めてる日本?

time 2015/09/21

ヒト受精卵に遺伝子操作 欧米で大論争も冷めてる日本?

 中国でヒト受精卵に世界初の遺伝子操作が行われたと報じられました。
 これは欧米ではタブーとされる行為で論争を巻き起こしています。

 ところが日本のネット上では容認の声ばかりが上がっています。
 「何が悪いの?」「タブー視することが問題」

 研究が進めば「強化人間」も可能になるとか。
 夢が広がると見るか、許されざる行為と見るか。

sponsored link
ヒトの遺伝子操作 誰かがやると思ってた?

 多くの人にとって、遺伝子操作が注目を浴びたのはもう15年以上も前の「クローン羊」ドリーが最初でしょう。1997年2月に発表されたドリーによって遺伝子操作の是非が激しく論じられました。

 t02200226_0360036912937611081

 同年6月にはデンバーサミットの8ヵ国宣言で、人間のクローンを禁止する声明が出されました。
 しかし、この8ヵ国に中国は含まれていませんでした。

 禁止した理由は「ヒトがクローン人間をつくる」という神の領域を侵す行為という倫理的理由と、生まれてきたクローンの人権問題でした。

 それでも「思うままに人を作る技術」は禁断の果実。どれだけ倫理に訴えて禁止しても誰かがやるだろうと言われていました。そしてその時がきたのです。

中国の科学者がヒト受精卵に遺伝子操作 欧米で激しい論争に
NEWSポストセブン 2015.09.19

中山大学の黄軍就副教授らの研究チームがヒト受精卵の「ゲノム編集」を行ったというのだ。

今回の実験が問題視されたのは、世界で初めてヒト受精卵にゲノム編集を施したからだ。欧米ではタブー視される行為であり、激しい論争を巻き起こした。

「ゲノム編集技術を用いれば、目の色や体質だけでなく、運動能力や体格、IQ(知能指数)すら思い通りに操作できるようになります。SF世界のような“強化人間”も技術的には可能です。しかし、どこまで人間のレシピを書き換えていいのか、そもそも書き換えていいのかという”境界”の議論は世界的に進んでいません。線引きが曖昧な状態のまま中国の論文が発表され、科学界に大きな衝撃が走りました」

中国の研究チームは胎児に成長する能力のない受精卵を使っており、科学的・倫理的な問題点はクリアしたと主張するが、この研究が「ヒト作り替え」の最初の一歩となりうることは間違いない。欧米の科学者は中国の「暴挙」に激しく反発した。

 このニュースをみた日本のネット上の反応は、中国大批判とはなりませんでした。むしろ欧米のタブーを疑問視する声が多い印象です。

倫理観の根底にある宗教観の違い

 3lbick0g21udc

 倫理に基づくタブーを無視した中国の科学者は批判されてしかるべきでしょうか。欧米の科学者は強く反発していますが、そもそも倫理や宗教によって異なるものです。

 日本の墓石を思い浮かべてください。墓石に座る日本人はまずいないでしょう。しかし、墓石に座るのが普通の文化圏があったとしたら、彼らは墓石に座ることを倫理観の欠如とも、神仏への冒涜とも考えません。モラルが低いわけでもなく、単に文化が違うだけです。

 同様に「ヒトがクローン人間をつくる」ことが倫理的に許されないのは、根底にキリスト教の価値観があるからです。創造主たる神に作られた人間が、人間に類するものを生みだすのは神の領域を侵すこと。欧米がヒト型ロボットの開発に二の足を踏むのと同じ理由です。

 しかし多神教ベースにアジアでは価値観が少々違います。ヒトも動物も神になるのが多神教、石や人工物でさえ長い時を経れば神になるのです。神の領域を特別師していません。

 日本が人間のクローン禁止に同調したのは「クローンの人権問題」の方が強かったのではないでしょうか。普通の人間の人権が危うい国では、倫理や人権問題というストッパーは役に立たなかったということです。

クローン人間技術で中国がリード どう追うのか?

 議論はともあれ、中国は他国を抜け駆けて実験を行い成果を得ました。
 これは何を意味するのでしょう。

 BRICsなど15年前は途上国とされてきた国でも、現在は発展目覚ましく先進国に引けを取らない国々があります。高い科学技術は先進国だけのものではありません。

 彼らが日本や欧米先進国がタブーとしたクローン人間技術を進めた場合、先進諸国はそれを止めるように動くのでしょうか。

 例えば、遺憾の意を出したり?国連人権委員会から注意させたり?
 効果がなければ経済制裁?それでもダメなら戦争?

 そこまでやるとは思えません。そうであれば、堰を切ったように技術競争が激化する可能性もあります。
 この中国のタブーを破った史上初の実験は、歴史に残る転換点になるやも。

 20年後にはあらゆるスポーツや学術の分野で、クローン人間が圧倒的な力の差を見せつけているかも知れません。そうなったら凡人の我々は。。。

sponsored link

down

コメントする






sponsored link

カテゴリー

アーカイブ