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世界が難民を受け入れたくない3つの理由 難民は本当に難民か?

time 2015/09/10

世界が難民を受け入れたくない3つの理由 難民は本当に難民か?

 欧州でシリア難民の受入れが本格的に始まり、世界は愛と慈悲に溢れていることを証明しました。特にドイツはここ数日で2万人の難民を受入れ、その数は増大していくとみられています。ドイツはEU諸国に難民受入れの分担を提案しており、欧州外でもオーストラリア・ベネズエラ・ブラジルなどが難民受入れを表明しました。

 その一方で、難民受入れに消極的な立場を明確にする国も現れました。
 ハンガリーなど東欧諸国はドイツの分担案に「現実的ではない」と反対、北欧のデンマークは難民を歓迎しないとする広告を新聞に出しました。

 人道的観点からハンガリーやデンマークを批判する声が高まる中、サウジアラビアやクウェート、カタール、UAEなどシリアと宗教的にも民族的にも近いアラブ諸国が、産油国で経済的に裕福でありながら難民を受け入れていないことも指摘されています。

 先進国で最低の難民受入れ数を誇る日本にもその矛先は向けられています。

 人道的には難民受入れに積極的になるべきです。それはわかっていながら、難民受入れに消極的・反対の立場を表明するのはなぜでしょうか。3つの大きな理由に絞って解説します。

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理由その1 キリスト圏の欧州は反イスラム?

 欧州はキリスト教圏であり難民の多くはシリアなどイスラム圏からやってきます。理性的に宗教を越えた「人道」があると理解していても、潜在的な異教徒、異文化への恐怖や嫌悪は拭えるものではありません。

 ハンガリーは難民受け入れを否定する理由に「キリスト教のルーツを脅かしている」と宗教の違いが理由のひとつであるとしました。そして「キリスト教徒の難民であれば受け入れる」としています。

 タリバンによるテロ、ISISによる凶行、それらがイスラム教徒の一部によるものであることを承知しつつも、そのような集団を生むイスラム教に抱く恐怖や嫌悪があります。キリスト教もイスラム教も一神教であり、他の宗教を「邪教」として認めずに争いを繰り広げてきた歴史もあります。「なぜサウジアラビアなどアラブ諸国が移民を受け入れないのか?」という声が出るのも頷けます。

 どこの民主国家も信教の自由を認めているので国家として宗教を理由に受入れ拒否することは難しいことです。しかし、実際に受け入れても市民感覚として受入れられないのであれば、反難民運動などで物理的・精神的被害を受ける可能性もあり、最初から「受け入れず」とする方が人道的かも知れません。

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フランスのイスラム教徒

理由その2 国民は難民対策より国内政策を求めている?

 サウジアラビアなどは国連難民条約に加盟していません。そのため難民は入国するのに審査やビザが必要になるため行き先に選びません。国連難民条約は1951年ですから加盟しなかった理由は現在の状況と関係ないでしょうが、治安が乱れることを懸念しているという指摘もあります。また、歴史的にアラブ諸国は王族支配であり国家間は仲が悪いです。

 欧州では最近までデフォルトすると言われていたギリシャに経済的余裕がないことは明白です。ギリシャ危機が象徴するようにEUの経済はドイツやフランスなど先進国が儲かり、東欧など後進地域は貧するという構造になっています。詳しくは「ギリシャ・デフォルト問題 なぜ?いまさら聞けない3つの疑問」を参照ください。

 東欧のハンガリーでは地下鉄にホームレスが溢れているような状況です。国内の雇用政策、経済政策に国民が不満を持っている状態で数万人の難民を受け入れるというのは無理難題なのです。

 国内に余裕がない国が難民を受け入れても、それは双方にとっての不幸でしかありません。貧しくともさらに貧しきものに手を差し伸べることができるのか?すこし先に進めば富に溢れた人々がいる。それでもできるのか?難民だって貧しいところでわずかな施しを受けるより、富に溢れたところで十分な施しを受けたいはず。そのような心理が働くことを誰が止められるのでしょう。そのような心理が働くことは「人道」から外れることなのでしょうか。

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ハンガリーのホームレス

理由その3 そもそも難民ではなく移民ではないのか?

 ハンガリーの首相は「難民ではなく移民だ」と主張しています。難民がドイツや北欧を目指すのはそこが裕福な国だからです。そのよう経済的に裕福になることを目的に住処を変えるのは「難民ではなく移民」であると主張しています。

 EUの外交安全保障上級代表は「難民の流入だ」としています。難民の多くを占めるシリアやアフガニスタン、イラクが内戦状態であるためです。

 移民と難民の判断は簡単にはできないのが現実です。一般的には内的要因なら移民、外的要因なら難民となりますが、シリア難民は内戦により国外へ逃げざるを得ないのも事実ですが、新たな人生を構築する為にドイツを目指しているのも事実です。

 そして「偽装難民」が混ざっているのも事実。95%は偽装難民であると訴える声もあります。それが事実なら「人道」を持ち出す案件ではなく、難民としての特権を不正に享受している不届き者ということになります。他国の国民の税金を当てにした乞食が如き者であれば受入れ拒否も当然のことです。

 しかし、移民と難民を容易に見分けることはできないのです。ISISは難民に偽装して4000人の兵士を送り込んだと声明を出しています。もうめちゃくちゃなのです。

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北を目指す難民

日本は難民を受け入れるのか?

 これまで欧州やアラブの視点で難民受入れ拒否を「肯定的な立場」から解説しました。国連は日本にもシリア難民の受入れを求めています。日本は難民を受け入れるでしょうか?

 理由1は日本人は宗教的にも人種的にも非常に寛容であるため問題になりません。ベースが多神教で特定宗教の信者が少ない日本はベストの選択肢のひとつといえるでしょう。理由2も国内経済が不調だとする方も多いですが世界的に見れば非常に裕福で治安も良い国です。

 しかし理由3については日本は非常に厳しい国です。そもそも日本の難民受入れが先進国中最下位なのは、理由その3によるものです。

 これは日本政府が悪いという話ではなく、日本に来る難民の多くは「偽装難民」だという現実があります。
 産経の「悪質「仮装難民」横行…これで「日本は難民に冷たい」と言われる筋合いはない」が詳しいです。

 一部抜粋しますと、
難民申請をする人の圧倒的多くのケースが、日本での就労を目的とするものだった。

本国での借金が返済できず帰国すれば危害を加えられる▽相続トラブルになっていて親族から殺される▽日本で働いてお金を稼ぎ本国の家族を助けなければならない▽スポーツ大会で自分のチームが勝ったら対戦相手に命を狙われた▽妻が以前交際していた男性から脅迫されている▽キリスト教徒になり酒を覚えたのでイスラム教国に戻れない…。

「同性愛者で迫害されている」といって申請していた外国人男性が、後になって日本人女性と結婚した例もあったという。

 仮に日本がシリア難民を受け入れるとしても厳格な審査を緩めることはないでしょう。「特例」は認めるべきでなく、制度自体を緩和すれば難民ならざる者を難民として受け入れざるを得なくなります。

 本当に困窮している難民は救ってあげたいです。しかし「偽装難民」や「密航業者」ばかりが旨い目を見ている今の状況は簡単に許していいとも思えません。このジレンマがあるからこそ、難民問題はこれからも議論が続いていくことは間違いありません。

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