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潘国連事務総長「国連は中立機関でなく公平・公正な機関」 何が言いたいのか分析してみる

time 2015/09/07

潘国連事務総長「国連は中立機関でなく公平・公正な機関」 何が言いたいのか分析してみる

 潘基文国連事務総長が中国の閲兵式へ出席したことに、日本が国連の中立性の問題を指摘して抗議したところ「国連は中立機関でなく公平・公正な機関」と反論したことが報じられました。

 潘氏は「過去から学ぶことが重要であり、歴史から学ぶことでより良い未来を期待することができる」という考えを表し、「国連を『中立的な機関』と誤って捉えている人がいるが、ある意味では『中立な機関』にはなりえない。」と強調しました。

 「中立でなく公平・公正」というのは似て非なるもの?中国の軍事パレードに参加することは「中立ではない」と認めつつ「公平・公正」であると主張しています。少し掘り下げて見ていきましょう。

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中立とは公平・公正であることではないのか?

 まずはそれぞれの言葉の意味を整理しましょう。

【中立】
一般には紛争や対立に対して,その局外に立ち,公平であることであるが,国際法上は他の国家間の戦争に参加しない国家の地位をいう (→中立国 ) 。今日では,戦争が違法化される一方で国連加盟国は国連のとる行動に援助を与える義務を負うので,伝統的な中立の概念に動揺が生じている。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 )

【公平】
かたよることなく,すべてを同等に扱う・こと(さま)。主観を交えない・こと(さま)
(大辞林)

【公正】
かたよりなく平等であること。公平で正しいこと。また,そのさま。
(大辞林)

 中立の説明で「局外に立ち公平であること」とされていますので、中立=公平と言って差し支えないかと思われます。また公正は「公平で正しいこと」ですから公平=公正ということでしょう。

 辞書上の意味では単に「中立性」という指摘をかわすための言葉遊びとして「中立ではない、公平・公正だ」と言ったようにしか読み取れません。あとは微妙なニュアンスの話になってしまいますが、そうなると原文である英語のニュアンスになり日本語で突き詰めても意味はありません。

 中立(neutral)と公平・公正(impartial)は、中立が無機質な状態を指し、公平・公正が人間の意思に依存した状態を指しているとも読めます。そうすると「ある意味では『中立な機関』にはなりえない。」という発言も、「人間の判断が加わる以上は完全中立などありえない」と受け取ることができます。

 これって本当に言葉遊びの域で、日本の批判した「中立」の言葉尻を取って「中立なんてありえないよ」と言っているだけでは?批判内容を「公平・公正であるべき」と変えても主旨はまったくずれないのが分かっていて言っているとしか思えません。

軍事パレードに参加する前は「むしろ中立」と主張していたが?

 軍事パレードに参加する前は「むしろ中立」という主張をしていました。

「自分が(中国閲兵式のほかにも)ポーランド、ウクライナ、ロシアなどで開かれた第二次世界大戦の終戦記念行事に出席したのも同じ脈絡だ」と説明した。

「先月6日、広島平和記念公園で開かれた平和記念式典に国連軍縮担当上級代表を送ったのも歴史の教訓をもとにしてより良い未来に進むという次元で行われた」と付け加えた。

国連消息筋は「今年に入って世界各国で開催された第二次世界大戦の終戦70周年関連イベントをめぐって、ある国がする行事には参加して、特定の国が開いた場合には参加しないのは、むしろ中立性に問題がある」

 「むしろ中立性に問題がある」というのが「国連消息筋」という非常に根拠薄弱な怪しいソースになっているのが気になりますが、本当に潘氏に近いし人のコメントであれば「むしろ中立」と主張していたことになります。

 それが中立を否定して公平・公正に転換したのは何か理由があってのことでしょうか。
 単にマスメディアから同じ質問をされるので強く否定してみせただけいう可能性もあります。

 他の国連加盟国からも指摘はあったようですし、海外掲示板でもロシアに続いて中国の軍事パレードに出席したことを疑問視する声もあります。「強く中立性を否定した」というよりは、さらっと話を流すために「公平・公正である」と遊んだようにも見えます。

何にせよ「国連私物化」が批判されている潘氏のやることである

 この対応は中韓のネット上では絶賛されていますが、海外メディアなどでは騒ぎにもなっていない模様です。
 日本でも敵国条項を掘り起こして深読みする方々もいますが、大騒ぎする問題ではありません。

 そもそもが潘氏は「国連私物化」の方が問題視されており、「中立」や「公平・公正」を語るに値しない人物と評されています。彼の任期がまだ続くことを考えれば国連の存在感はさらに薄まることは確実です。日本人は国連に対して敬意を持っているのは良いことですが、世界は国連にそんなに期待していません。

 国連の分担金の約2割は日本が負担しています。「公平」なら分担金を同額にするか、負担額に見合った特典を与えるべきなのです。でも「中立」なら負担金は関係ありません。

 本当は「公平・公正」より「中立」の方が国連にとって都合が良いのですが、言葉遊びで「中立」を否定するようでは、その程度ということでしょう。

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