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ギリシャの次は難民問題 欧州を揺るがす大問題 知っておきたい難民問題の基本的な3つのポイント

time 2015/09/07

ギリシャの次は難民問題 欧州を揺るがす大問題 知っておきたい難民問題の基本的な3つのポイント

 にわかに欧州の難民問題がクローズアップされてきました。今年に入ってギリシャ危機が欧州の主要命題になっていましたが、それより数年前からずっと継続して議論されているのが難民問題です。

 しかし難民問題といっても感覚的にわかりにくいのが日本人。なぜなら日本は難民をほとんど受け入れておりません。難民の多くが中東やアフリカの人々であることから「地理的に難民が来ない」というのも理由のひとつですが、難民申請が厳しく先進諸国でも群を抜いて通りにくいというのもあります。

 そんな中、ひさびさに世界を揺るがす「写真」が登場しました。
 海岸に打ち上げられた子供の写真。シリア難民と見られています。

 今まさに話題の難民問題ですが「難しそう」「わかりにくい」というビジネスパーソンに雑談に耐えうるレベルの3つのポイントをお伝えします。そして「日本は関係ない」と思っている方がいるとすればそれは大間違い。もしかしたら数万人のシリア人が日本に難民としてやってくるかも?

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①「難民排斥」が数年来のトレンドだった?

 難民は世界で5000万人を超えています。5年前の2010年は1200万人、10年前の2005年は400万人ですから、10年で12倍にまで増えたことになります。

 国別で見ればシリア、アフガニスタン、ソマリアがトップ3で3国で半数以上を占めます。最近急上昇なのはシリアで、トルコを経由してギリシャから欧州入りをするか、最近話題になっている地中海を船で越えて国際船に拾われるかが主要ルートになっています。また、ソマリアなどアフリカからの難民も地中海を船で越えようとします。それが「難民船転覆」などの悲劇の下地になっています。

 対して受入れ国のトップはドイツです。続いて中南米の受け皿になっている米国、アフリカ南部の受け皿は南アフリカ、そして欧州に戻ってフランスやスウェーデンです。特にドイツの難民対策は充実しており、欧州に渡った難民はみなドイツを目指しています。

 欧州は歴史的に多民族、多文化には寛容な傾向があり、また有色人種への罪悪感があると言われています。特にドイツはナチスの外国人排斥の歴史の反省として、移民受入れには積極的な立場でした。しかし、そんなドイツでも難民の「排斥運動」が起こり「難民排斥デモ」が起こりました。フランスなどでも過激なデモが起こっています。

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フランスのイスラム教徒

 デモの主体は若者でした。難民が流入することで低賃金の労働力が確保できることから失業率が高まること、難民が増えれば治安悪化は避けられず治安維持に掛かる経費が増大すること。それらを負担する未来世代の若者が反発したのです。

 そんな国民の声を反映して、難民対策に積極的ではなかったのがこれまでの欧州です。
 言葉では寛容な姿勢を示しても、難民対策に当てる予算はわずかに過ぎない。そんな状況が続いていました。
 その状況を変えたのは、写真の力でした。

②「難民受入れ」へ転換!世界を動かした写真

 「難民排斥」の現状を打破するきっかけとなったのは、海岸に打ち上げられた子供の写真でした。

 海岸に打ち上げられた移民男児の遺体、欧州各国で波紋呼ぶ
 ※リンク先からさらに「18歳以上」の確認があります。直接の写真へは飛びません。

 この写真が広く知られたことで世論が変わり、そして各国が「難民排斥」から「難民受入れ」へ急転回します。難民受入れの主役であるドイツは、EU内での難民負担の分担を唱えはじめました。フランスでも「難民を受け入れろ」と大規模集会が開かれました。

 これから欧州はEUという枠組みでの難民対策に取り組むことになります。これまで難民の通過点だったイタリアやギリシャなどの南欧国も、難民登録したらドイツへ送り出すという単純な話ではなくなります。

 そして、日本にも難民がやってくるかも知れません。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は「日本を含む各国に受け入れを求めており、連帯をお願いしたい。シリア難民はかつてない規模で増え、周辺国だけではまかないきれない」と日本の協力を求めています。

 欧州を中心に世界的に難民受入れの世論が形成されれば、日本も「難民の分担国」としてシリア難民が数万人単位でやってくる可能性もあるということです。

③難民問題の根本解決とは?フランスがシリア空爆を検討

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 難民受入れに消極的だった欧州が本格的に難民を受け入れていくことはもう避けられません。しかし、世論が変わっても具体的な問題、難民に掛かる社会保障費、治安悪化、失業率増加、これらの問題はなんら解決の糸口が見えたわけではありません。

 良く言えば「写真」が忘れらていたモラルを思い出させた、悪く言えば「写真」がリアリズムより感情論を優先させた、という状況です。

 そしてシリア難民の根本解決としてフランス政府で検討されているのが「シリア空爆」です。

 難民を本格的に受け入れることでさまざまな影響が出る以上は「当事者」として問題解決に尽力するのは当然の権利です。それが「軍事介入」と言われても是非はともあれ「だったらお前ら難民の面倒を見ろ!」と言い返すことができます。難民だって自分達の国が安定していれば他国へ逃げる理由もなくなるわけです。

 とはいえ、モラルや感情論としては「難民問題の解決策としての武力行使」は受け入れ難いことです。これは二律背反です。モラルや感情論に訴えて「難民受入れ」を推進しながら、モラルや感情論に訴えて「難民問題の根本解決に反対」するのですから。

 やるとすればフランス単独ではないでしょうから世界が動きます。平和的で愛に溢れる「難民受入れ」から急転直下の大規模戦争突入の可能性もある「軍事介入」危機へ。それを避けるには「根本解決」の方法としてどのような選択肢が示されるかが注目されます。

対岸の火事ではない日本の難民問題

 日本へもシリア難民が来るかも知れないことは書きました。イスラム教徒と対立の歴史があるキリスト教圏の欧州より、多神教がベースで宗教に寛容な日本の方が宗教的には住みやすいかも知れません。ただ、日本人の「ガイジン」扱いとでも言いますか、伝統的な島国感覚は改める必要があります。

 それよりも現実味があるのは、中国、朝鮮からの難民問題です。

 中国は経済崩壊を引き金に国家転覆まで進む可能性もあります。中国の歴史は同じことの繰り返しですが、中央が弱体化すると地方に軍閥が立ち群雄割拠の乱世が訪れます。現代に乱世なんてありえない?いえ、これは3000年の昔からつい数十年前まで何度も繰り返された変わらぬ歴史です。シンプルな支配者交代より群雄割拠の方が混乱は長引き難民は多く発生します。

 朝鮮はつい先日も南北で衝突の危機がありました。在韓米軍がいる内は、中国が睨みを利かせている内は、実際に戦争再開にはならないでしょうが、在韓米軍の撤退と指揮権返還は延長しても数年内に完了することは間違いなく、中国も崩壊まで至らずとも弱体化が始まっているのは明白です。韓国は北から攻められたら海に逃げるしかありませんし、北朝鮮を支援する中国に逃げるよりは日本を選択するでしょう。

 これは日本が望まずとも数年後には大量の中国・朝鮮のボートピープルが日本海側に現れることを意味します。日本は現在は難民受け入れには世界有数の消極的な国。大混乱になることは間違いありません。

 少子化対策に移民を受け入れて若い労働力にしようという方もいますが、移民の前に難民対策を検討した方が良いのです。ドイツやフランスは未来の日本の姿として学んでおく必要があります。
 もしかしたら中国内乱や第二次朝鮮戦争に「難民問題の根本解決」を理由に日本が「軍事介入」するかも?

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