ナレッジ ウォーカー 「時事散策」

ビール系の税額統一へ 日本酒の税額も統一して欲しい?

time 2015/08/31

ビール系の税額統一へ 日本酒の税額も統一して欲しい?

 以前から素案は出ていた「ビール・発泡酒等」の税額統一案。いよいよ来年度税制改正に盛り込むことを目指して動き出すようです。猶予期間を5~7年設ける方向で早ければ6年後にはビールも発泡酒も同じ値段で店頭に並ぶかも知れません。

 現在、安売りのお店に行けば、350ml缶でビールは160円程度、発泡酒は100円程度で販売されています。店の外の自販機でジュースが350ml缶で110円だったりすると、いよいよ日本も水代わりに酒を飲む国になったか?などと勘違いしてしまいそうになります。この安値競争が酒税改正の一因となっています。

 しかし、そもそも発泡酒や第三のビールがビールと同じ値段になったら売れるのでしょうか?日本酒やワインの税額もいっそ統一したとしたら?350mlで他の酒税とも比べてみます。

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発泡酒は「安いビール」として誕生したのに?

 発泡酒は1990年代から「安いビール」として開発・販売されてきました。酒税法で「ビール」と「発泡酒」は税率が異なり、ビールより安く価格設定が出来るのが強みでした。そのためいかに「ビールに近い味の発泡酒」を作れるかの勝負となり、消費者側も「ビールの廉価版」として認識してきました。

 それが発泡酒のシェアが拡大してビールの売り上げを逆転すると、酒税改正を行い発泡酒の税率を上げビールの税率を下げました。これに開発費を投じて発泡酒を作り上げたメーカーは反発して問題化します。そしてさらなる企業努力で「第三のビール」が登場しました。

 「第三のビール」は原料に麦芽を使わなかったり、発泡酒にさらに別の酒を混ぜたりしたので、「ビールの廉価版」から「発泡酒の廉価版」となりました。また、ビールの味を追求するにも無理があり、さまざまな味のアルコールへと展開されていきました。今ではこの「第三のビール」の売り上げが非常に伸びています。

 これら「ビールの廉価版」として発展した発泡酒や第三のビール。それらを「税額統一」するということは「税率の優位」は失われるのでほぼ同じ価格になります。「本物」と「廉価版」を同じ値段で売れば「本物」が売れるのは道理。これは実質、発泡酒と第三のビールは「ビールの真似」をやめろというのと同義です。

酒税法改正の目的は「小規模酒販店の保護」?

 酒税法改正の理由は大規模量販店の安売りにより小規模酒販店が急激に減少しているため。これまで規制緩和でコンビニやスーパーで酒類の販売が可能になり、小規模酒販店は1995年には酒販売業者の8割でしたが、2012年には3割まで減少しました。そこで酒税法改正で「公正な取引基準」を決めて大規模量販店の「大量販売」による「メーカーとの価格交渉の優位」を取り除いて小規模酒販店も対等の競争ができるようにしようということです。

 これって自由競争の否定では?これによって最も被害を受けるのは大規模量販店ではなく消費者でしょう。これまで大規模量販店で安く購入していた酒類は、今後は「公正な取引基準」の名のもとに小規模酒販店と同等の価格で販売されるようになるかも知れないからです。

 それにビールと発泡酒と第三のビール、これらの税率統一も関係がわかりません。これから国会審議に掛けられるわけですが、どう展開するのでしょうか。すでに自民、公明は賛成しているようなので大した議論もなく通ってしまうのでしょうか。

どうせならすべての酒税を一律にしてみたら?

 酒税は細かく酒の種類ごとに定められています。今回はビールと発泡酒と第三のビールが統一されますが、いっそ全部の酒税を一律にしたらどうなるのでしょうか。

 350mlごとの税額
  ビール    77円
  発泡酒    47円 (麦芽比率25%未満)
  第三のビール 28円 (その他の発泡性酒類)

  日本酒    42円
  ワイン    28円
  蒸留酒    70円 (アルコール度数21度未満)
  ウイスキー  130円 (アルコール度数38度未満)
  ※ウイスキー、ブランデー、スピリッツは同じカテゴリー

 ワインは第三のビールと同じ。
 日本酒は発泡酒よりも安いという結果に。

 意外な結果でした。最近は安いワインも出回っていますが、日本酒は四合瓶(720ml)で安くても1000円前後。価格だけならビールの3倍以上するのに、実は税率はビールの半分程度となっています。それだけ原価が高いということなのでしょう。コスパ最強は日本酒で決まりのようです。

 どうせならすべての酒税を一律にしてみたら?とはもう申しません。ウイスキーやブランデー好きには良いことでしょうが、ワインはや日本酒好きには残念なことになりそうです。

酒の消費量は減っているのに規制強化していいの?

 国税庁の調べでは酒の消費量は1992年のピークから20%以上も減少しています。この原因は酒類消費の中心世代である30~50代が減少し、あまり消費しなくなる60代以上が増加したためとしています。つまり、今後も酒の消費量は減少し続けていくということです。

 そんな最中に酒の低価格路線を規制するような動き、これは「酒離れ」を助長するのではないでしょうか。結果的にそれは小規模酒販店を救済するのではなく、引導を渡すことになる「本末転倒」の危険があります。全体の価格があがればより嗜好品となっていき、現在の低所得が多い若手世代では手が出なくなるのは自明です。

 これを止めるには政治の力しかないわけですが。安保法制よりも酒税法改正で反対デモが起こって欲しい。いっそこれを争点にして解散総選挙をやって欲しいです。そうなったら「酒嫌い」の層との激しい戦いに発展しそうですが、国を割る大論争にまで発展したらおもしろいかも知れません。

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