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日テレのセクシーラグビー問題 ところでランジェリーフットボールって知ってる?

time 2015/08/25

日テレのセクシーラグビー問題 ところでランジェリーフットボールって知ってる?

 日本テレビが、ラグビー世界大会の公式サイトで「セクシー★ラグビールール」という動画を公開しました。これは、アイドル達がラグビーのルールをセクシーに解説するものです。この動画に元日本代表の平尾剛氏は「ばかにするにもほどがある」と批判、同様の批判が相次いで動画は削除されました。

 この件は「何が問題なのか?」がはっきりしません。セクシーな姿の女性がラグビーのルールを説明し、どちらかといえばルール説明よりもセクシーに焦点が当てられている映像であることが問題視されているのはわかります。動画を製作した側もそれは敢えてわかった上で製作しています。では、それの何が悪いのか。

 その背景には素人と玄人の意識差があります。素人も玄人も目的は同じですが手段が気に入らないという話です。悪意や貶めようなどとは微塵も思っていないはず。日テレの担当者を責める前にその点を考えてみましょう。

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みんな、ラグビー世界大会を盛り上げたい!

 日テレが「セクシー★ラグビールール」という動画を製作した意図は単純明快です。それは「ラグビーを盛り上げたいから」です。この点は動画を批判しているラグビーファンやラグビーに携わる方々も同じ思いのはずです。

 ただ、ラグビーは日本ではマイナー競技です。日本のメジャースポーツといえば、野球、サッカー、相撲でしょう。テレビで流されるスポーツ=メジャースポーツとは断言しませんが、それは正解でしょう。特別な国際大会ではなく国内リーグを放送しているスポーツは、野球、サッカー、相撲だけです。

 ラグビーはその名は知られているものの、野球やサッカーほどの知名度ではないということです。そしてその一因は難しいルールが挙げられます。少年少女が体育の授業でラグビーをやってもルールに把握には及ばないほど難しい。サッカーや相撲のような単純さはないということです。(野球はちょっと難しいですが)I

 そんな中で「ラグビーを盛り上げる」ためには注目を集める必要があり、かつルールを理解してもらう必要があります。テレビ的に言えば、チャンネルを合わせてもらう、そのチャンネルを観続けてもらう、この2つが必要です。そのためにテレビ制作スタッフという「ラグビー素人」が考え出したのが「セクシー★ラグビールール」なわけです。

目的達成の要件を満たした手段選択ではないのか?

 セクシーで注目を集め、合わせてセクシーでルールを理解してもらおうという狙い。スポーツ観戦する層は男性が多いですから、そこにターゲットを絞ったコンテンツを用意した、なかなか秀逸な手段選択です。

 もし自分がラグビー番組の担当になったとして、「盛り上げろ!」と指示されたらどのような手段を考えるでしょうか。まずは長所をPRし、短所を出来る限り削るなり回避するなりし、インパクトを与えて注目を集めようとするのではないでしょうか。素人目に見るラグビーの長所は激しいボディコンタクト、短所はルールがわからないところです。これらをまとめて満たしたのが「セクシー★ラグビールール」なのです。

 しかし、多くの批判を受け削除してしまいました。元日本代表の平尾氏をはじめ、みなラグビーが好きな方たちの意見でしょう。彼らはラグビーに少なからず精通した、少なくとも素人から一歩進んだ方々だと思います。

 玄人はルールに精通しており、ラグビーに注目しています。この動画は玄人に向けて製作されたものではありません。ターゲットにされた素人が「こんなもんでルールが理解できるか!」と批判するのはわかりますが、ターゲットではない玄人の方々がただ批判するのは少し違うと思います。そのラグビーの知識や愛情を以て、「こんな動画を作るなら、もっとこうしたものを作った方が盛り上がる!」という代案を携えた批判をするべきです。そうでないと、「この動画、気持ち悪いよね」で終わってしまいます。

本場イギリスの「セクシー★ラグビールール」

 ラグビーの本場イギリスでは男性向け化粧品会社がCMで同じようなコンセプトの映像を流していました。

 このひとつの動画をもって、イギリスでは「セクシー★ラグビールール」と同じものが容認されている!とかラグビーというスポーツにはエロスの下地がある!などとは申しません。しかし、同様のコンセプトは過去にも存在しており、実際にテレビ放送されていたということです。

 ちなみに、サッカーでも外国ではセクシーサッカーの企画は普通に存在します。水着の女性がサッカーをやる映像というのはそこかしこで見ますし、ラテン国だからかそれが問題になった話は知りません。

 野球でも始球式に女性アイドルが水着やミニスカートで登場し、セクシーな投球を見せることは日常茶飯事に行われています。これについて、「野球を馬鹿にしている」「唾を吐きかけられた気持ち」などと批判する野球選手はいないのです。

 なぜラグビーだけがこうも選手・ファンが過敏に批判を繰り広げるのでしょうか。それは玄人な方々はラグビーを「硬派」なスポーツと考えているからでしょう。ニュージーランドをはじめ南太平洋の代表チームでは試合前に「戦闘儀式」を行います。「ハカ」や「シヴァタウ」と呼ばれる踊りで国によって呼び名が違います。つまりラグビーを「戦闘行為」に模しており、「男たちの闘い」に見立てているわけです。

 そんなラグビーのイメージにも素人と玄人の差が出たと言えるでしょう。しかし、「硬派」を売りにしてもなかなか注目を集めるのは難しいのも事実です。

ランジェリーフットボールを知っていますか?

 アメリカン・フットボールというスポーツがあります。楕円形のボールを使うことでラグビーと似た競技と思われがちですが、根本的にまったく違う別競技です。それを前提として、ランジェリー姿で行うアメフトが存在し、それをかつてはランジェリーフットボールと呼ばれていました。ちなみに、現在はレジェンズフットボールと呼び名が代わったようです。

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 このランジェリーフットボールは、アメフトのハーフタイムショーでチアリーダーが余興でアメフトをやったところ人気が出た為に正式にリーグ化させたものです。

 ラグビーとは直接の関係はないですが、今回の件で批判している方々はこのスポーツをどう思うのでしょう。チアリーダーのショーがリーグ化されたものですし、チアはラグビーの試合にも存在します。「セクシー★ラグビールール」がセクハラだというのなら、チアリーダーの存在をどう考えるのでしょうか。

元凶は複雑なルールにある!

 ルールが複雑なスポーツは発展しないと言われています。サッカーが世界中に広まっている理由は、ルールが簡潔であること、そして道具がボールひとつだということです。野球はルールが複雑だし道具も必要です。そのため、世界にはあまり普及しておらずオリンピックからも外されました。

 ラグビーを本気で盛り上げたいのなら、本気で普及させたいと思うのなら、ルールの簡略化をもっと進めるべきです。しかし、行きすぎれば「ラグビーではない何か」になってしまいます。そこの線引きが出来るのはラグビーの玄人の方々だけですから、批判する暇があったらルールの簡略化を検討して欲しいと強く願います。

 2019年のラグビーW杯日本開催を楽しむためにもルール改正を。それが無理なら、セクシー動画でルールを覚えるくらいは許してもらえないものでしょうか。

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