ナレッジ ウォーカー 「時事散策」

国会前ハンスト決行! ぬるすぎるハンストは何の意味もない?

time 2015/08/21

国会前ハンスト決行! ぬるすぎるハンストは何の意味もない?

 8月27日に安保関連法案制定を阻止するため大学生たちが中心となってハンガーストライキ(以下、ハンスト)を決行することが発表されました。ハンストを企画した「学生ハンスト実行委員会」は「日常の生活を犠牲にしてでも抗議しなければいけないと思い、ハンストを行うことにしました」とハンストの意義を説明しています。

 ハンストは8月27日より無期限に実施。初日は午後2時から午後8時まで、2日目以降は午前10時から午後7時までです。水を飲むことは可能で夜間は睡眠を取るために屋内へ移動するそうです。「学生ハンスト実行委員会」の声明文では「私たちは生命をかける覚悟でたたかいます。」としています。

 しかし、タレントのフィフィさんはtwitterで「イスラムの断食月よりぬるいハンストに正直驚いた」とコメントし、体調管理に最大限配慮しつつも「命をかける覚悟」というぬるさを指摘しています。ネットでは「ファッションハンスト」「ハンストごっこ」と批判が相次いでいます。

 8月27日にはメディアがこぞって報道するでしょう。その前に、ハンストの意味、断食月などの基礎知識を備えておくと報道が3倍楽しめることは間違いありません。

sponsored link
ハンガーストライキとは何か?

 ハンガーとは「飢餓」のことです。ハングリー(空腹)と語源は同じです。ハンストは抗議活動のひとつで「相手が要求を受け入れなければ餓死する」というアピールにより要求を通したり世間にアピールするためのものです。実際にそのまま死亡した例もあり、まさに「命をかけた」抗議活動です。

 青島幸男さんが1992年に行った際には30時間が経過して緊急入院して終了しました。この時は東京佐川急便事件で金丸さんが罰金のみで議員辞職しないことに抗議して行われ、結果的に世論が反発して金丸さんは議員辞職へと追い込まれました。ハンガーストライキは効果を発揮したのです。

 最近では香港のデモで学生リーダーがハンストを行いました。ハンストは5日間続いてドクターストップで終了しています。血糖値が非常に低くなり危険な状態だと判断されたためでした。このときのハンストは水以外は口にしないというもので、休憩時間?はありませんでした。結果、ハンストが決定的な効果を生みだすには至りませんでした。

 ハンストはまさに命がけ。その危険性こそが注目を集め世論を動かします。「ぬるいハンスト」では意味がありません。命の危険が迫る状況だからこそ意味があるのです。朝食と夕食は普通に食べて昼食だけ抜いて「ハンスト」とはなり得ません。企画した学生たちはそれがわかっているのでしょうか?

イスラムの断食月とは?

 タレントのフィフィさんがハンストの対比として出したのはイスラムの断食月です。イスラムの断食月は「日の出から日の入りまで」の間は一切の水も食事も摂らないというものです。イスラム圏は広いですが、エジプトの日の出日の入りの時間を参考にします。

 エジプト・カイロ 日の出 5:30  日の入 18:30

 イスラムの教えは寛容なので、実際に断食は名目だけで色々と理由をつけて食事をしているのでは?と疑う方もいるでしょうがそれは違います。イスラムの教えは「旅に出ている時は」臨機応変にしてよいというものです。活動範囲が広がるに従って、アラビアの教えをそのまま他地域に転用できない場合の措置が取られたのです。そのため、イスラム圏に住むイスラム教の方々はしっかりと断食月を守ります。

8/27ハンストと断食月の比較

 ハンスト
 フィフィさんの指摘もごもっともなところです。イスラム教徒なら毎年やっている断食よりも「ぬるい」ハンストになっています。というより、仕事で忙しくて昼食が摂れないときは10時~19時まで水分のみで過ごすというのは普通にあることです。「命をかけた」抗議活動としては、インパクトが弱いと言わざるを得ないです。

 しかし、もしかしたら現代の大学生にはこれは「命をかけた」行為なのかも知れません。子供のころから何不自由なく過ごしてくれば、好きな時に食べられないのは精神的にも厳しいはず。ダイエットで絞り続けた身体では、9時間もの時間を水だけで過ごすには危険が伴う可能性もあります。

 それを見て、世論が衝撃を受けるなり同情するなりするかは別問題ですが。

ダイ・インではだめなのか?

 命を題材にした抗議活動には「ダイ・イン」があります。いわゆる「死んだふり」をすることで抗議を表すのです。命の危険を伴わないハンストをするくらいなら、「死んだふり」をするダイ・インでも同じことです。なぜたいして空腹にもならない条件で「ハンガー」ストライキを選択したのかは謎です。

 ハンストは要は自分の首にナイフを突き付けて、「要求を飲まないなら俺が死ぬぞ!」と迫る行為です。それがおもちゃのナイフでは効果はありません。だったら、最初から死んだふりをすればよいのです。

学生が時代を動かすのか?

 「僕らも生命をかけてやるという覚悟はあるんです」
 「僕らはただ命を犠牲にしようとするのではな、そのリスクを負ってでもこの法案に反対するんだ」
 「パフォーマンスとしてやりたくない」

 内容と言葉が伴わないのはよくあることですが、少々自己陶酔に過ぎる印象を受けます。しかし、学生とは常にそういうもの。若いがゆえに鋭い言葉を好んで突き進むのが特徴とも言えます。熱い時代であれば学生が世の中を動かすのでしょうが、冷めた現代ではどのような結果になるのでしょうか。

 とりあえず、ハンストによって体調不良で搬送される人が何人も出てきたとしても、もう一度ハンストの条件を思い出すことは大事です。それこそ、低俗なパフォーマンスかどうかを見極めるのは大人の役割です。彼らがハンストのためにカンパを募集しているそうですが、それに見合う社会的責任を果たしてもらえるように期待しましょう。

sponsored link

down

コメントする






sponsored link

カテゴリー

アーカイブ