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震電や伊四百は「幻の秘密兵器」 では、実戦投入された秘密兵器は何がある?

time 2015/08/08

震電や伊四百は「幻の秘密兵器」 では、実戦投入された秘密兵器は何がある?

 8月3日に毎日新聞にて幻の戦闘機「震電」の記事が掲載されました。
 織物工場までが飛行機部品を製造を命令され四苦八苦したという話。
 「震電」は結局、実戦には間に合わずテスト飛行までで終戦を迎えます。

 続いて潜水艦空母「伊402」が長崎沖で発見されたというニュース。
 伊400型は3艦建造され、その3番艦である402がとみられています。
 伊400型も初陣に向かう道中で終戦となり、実戦に間に合いませんでした。

 「間に合わなかった兵器」にはロマンがあります。
 戦略爆撃機「富岳」やジェット戦闘機「橘花」、ロケット戦闘機「秋水」
 もし実戦に間に合っていたら?という妄想するのも楽しいものです。

 しかし、実戦に間に合った秘密兵器も当然あります。
 それらはどのようなもので、どのような活躍を見せたのでしょうか。

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世界初の大陸間攻撃兵器「風船爆弾」

 実戦で使われた日本の秘密兵器といえば、風船爆弾です。
 これは風船(無人の気球)に爆弾を付けて、飛ばすというもの。
 ジョークのような兵器ですが、当時の常識を超越した新兵器でした。

 地球の高空には、西から東へ高速で流れるジェット気流が存在します。
 飛行機で西より東へ移動する方が早いのは、ジェット気流に乗るからです。

 風船爆弾はこのジェット気流に乗せて米国本土攻撃を行いました。
 これは史上初の大陸間攻撃であり、米国本土爆撃をした希少な事例です。
 また、同じ方法で反撃されることのない、一方的な攻撃兵器でした。

 9300発を飛ばして、米本土に到達したのは一割ほどと言われています。
 この攻撃で死傷者が出たり、軍事工場に被害を与えた記録が残ります。
 米国は風船爆弾を非常に恐れており、厳しい情報統制を行いました。

 実際に使用された爆弾は通常爆弾や焼夷弾といったものでした。
 しかし、細菌兵器や毒ガスに換装することは容易く、大きな脅威でした。
 日本もBC兵器を研究していましたが、風船爆弾には使いませんでした。

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風船爆弾とコンニャクの話

 風船爆弾は不発弾も多く、米国はこれを徹底分析しました。
 ところが、風船の和紙を接着する成分が解明できませんでした。

 その頃、日本では食卓からコンニャクが消えました。
 風船爆弾のコンニャク糊にするために、徴発されてしまったのでした。

高速、高威力、長射程、そして”見えない”「酸素魚雷」

 当時の魚雷は圧縮空気を推進剤としているのがほとんどでした。
 そこに、日本は酸素を使って推進する「酸素魚雷」の実用化に成功します。

 酸素は燃焼性が高いため、速度、射程距離が高まります。
 推進力が高ければ多くの炸薬を搭載でき、威力を高めることができます。
 何より、水に溶けやすいので航跡が残らないという特徴がありました。

 戦争初期は、レーダーがあっても精度が低く役に立ちませんでした。
 そのため、敵の攻撃は視認して対応するのが普通でした。
 そこに「見えない」酸素魚雷は大きな脅威となりました。

 また、高威力のため巡洋艦を一発で大破したことがありました。
 魚雷を発射するのは通常は駆逐艦です。
 駆逐艦が巡洋艦を一撃で大破するというのは、信じられないことでした。

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あまり役に立たなかった酸素魚雷の「長射程」

 ガダルカナルの戦いのことでした。
 潜水艦から発射した6本の魚雷の内、3本が空母に命中し撃沈します。
 外れた魚雷はさらに10km弱も進み続け、偶然にも戦艦と駆逐艦に命中します。
 潜水艦の一度の攻撃で、空母撃沈、戦艦中破、駆逐艦大破という戦果でした。

 偶然の産物ではありましたが長射程が生んだ大戦果とでした。
 米軍はこのエリアに複数の潜水艦がいると判断したそうです。

 ところが、いいことばかりでもありませんでした。
 ガダルカナルの半年ほど前、ジャワ島沖では敵艦を外れた魚雷が味方に命中。
 被害は、特種船1隻、輸送船2隻、病院船1隻、掃海艇1隻、全て撃沈。
 しかも、この特種船は世界初と言われる揚陸艦で虎の子の存在でした。

 その後も「長射程」を活かして遠距離攻撃を実施しますが、命中率2%を出し
ついには遠距離攻撃を禁止し、射程距離を短くして炸薬を増やす改造を施します。

 射程距離というのも、長ければ良いわけではないということです。

戦艦主砲を対空砲にする「三式弾」

 三式弾とは対空射撃を行うために作られた弾丸です。
 榴散弾の一種で、一発が1000発ほどの弾子を内蔵しています。
 通常弾と違って、この弾子を放出して円錐状に攻撃することができます。

 三式弾は戦艦主砲からも発射可能でした。
 通常、戦艦の砲塔は対艦用で対空には機銃を使います。
 三式弾はその運用を新しくする画期的な弾でした。

 レイテ沖海戦時には、大和と長門が撃った三式弾で50機からの爆撃機隊を
半壊させたという説もあります。
 但し、米軍資料では「ほとんど被害なし」としており戦果は曖昧です。
 その後、三式弾より通常弾が主流になることから推して知るべしでしょう。

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三式弾と同じ原理の「三号爆弾」

 三式弾と同じ原理で航空機から投下する三号爆弾もありました。
 敵機上空から投下して、中空で爆発するという使い方です。

 三号爆弾一撃で14機を撃墜したという記録もあり、強力な兵器でした。
 しかし、当時の日本は時限信管しか持っていませんでした。
 敵機と爆弾の未来位置が合わさる点に、時間が合うように投下します。
 非常に難易度が高く、熟練の技を必要としていました。

 結局、三号爆弾も主要兵器にはなることができませんでした。

秘密兵器はあまり役立ってない?

 3つの秘密兵器を紹介しましたが、如何だったでしょうか。
 秘密兵器というからには戦局を覆す超兵器を期待していたでしょうか。
 紹介した3つは、ポテンシャルはあるものの戦果はそこそこでした。

 日本で大戦果をあげた秘密兵器を上げるなら浅沈度魚雷でしょうか。
 浅沈度魚雷の開発がなければ、真珠湾攻撃はありえませんでした。
 とはいえ、「沈みが浅い魚雷」と特徴としては地味です。

 なかなかドイツの列車砲や、巨大戦車のようなものはありません。
 連合軍の最大の秘密兵器は、レーダーと近接信管でしょう。

 それでもロマンは十分に感じられたのではないでしょうか。

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