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磯崎補佐官「法的安定性は関係ない」は何が問題か?マスコミのブツ切りと野党

time 2015/08/02

磯崎補佐官「法的安定性は関係ない」は何が問題か?マスコミのブツ切りと野党

 磯崎首相補佐官が安保法制について「法的安定性は関係ない」と発言し、
野党は大反発し与党からも批判の声が出ています。
 しかし、首相は更迭を拒否、官房長官も「辞任の必要なし」としました。

 連日報道されるも、よく問題点がわからない「法的安定性」のこと。
 「法的安定性」が何かをわかりやすくします。

 また、この件はいつもの如く、マスコミのブツ切り報道が問題です。
 「法的安定性は関係ない」の前後で何を話していたのか?
 「法的安定性は関係ない」の真意は?

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「法的安定性」とは朝令暮改しないということ

 法的安定性とは一言で表せば、「コロコロと変わらない」ということです。
 法律は解釈を変えれば、昨日までOKを今日からNGとすることも可能です。
 しかし、それでは法を順守する皆さんは混乱してしまいます。

 安保法制では「憲法解釈」が争点になっています。
 この「憲法の解釈を変えた」という点が「法的安定性」が保たれているのか。
 それが野党の追及ポイントなので磯崎氏の発言が問題化したのです。

政府は「法的安定性は揺らいでいない」

 「72年見解」を根拠に政府は法的安定性があるとしています。
 「72年見解」とは次の通りです。

・憲法前文「全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有する」
・第13条「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
 国政の上で最大の尊重を必要とする」

よって、国民の生存する権利、自由や幸福追求する権利を有している。
その為の、必要な自衛の措置を禁じているとは解釈されない。

但し、第9条において戦争を放棄し戦力の保持を禁止している。
つまり、自衛のための措置を無制限に認めているとは解釈されない。
それは必要最小限度の範囲にとどまるべきである。

武力行使が許されるのは我が国への武力攻撃に限られ、他国への武力攻撃を
阻止する集団的自衛権の行使は、憲法上許されない。

 政府は安保法制で認められる集団的自衛権は限定的であるとしています。
 全面的容認ではないから「基本的な論理を維持」しているということです。
 だから「法的安定性は揺らいでいない」のです。

 野党としては追及したくなるのもわかるくらい分かり難いですね。

磯崎氏の発言の前後

 磯崎氏は自らの発言が「短縮して報道されている」と主張しています。
 発言の内容は以下の通りです。

 「我が国の自衛権は必要最小限度でなければならない。
  その憲法解釈は変えていない」

 「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な
  措置かどうかで、法的安定性は関係ない。」

 「我が国を守るために必要なことを、日本国憲法が
  ダメだと言うことはありえない」

 「自衛権は必要最小限度」は72年見解に沿った発言です。
 きちんと政府見解を理解した上で発言されているようです。

 「法的安定性は関係ない」は「優先順位が低い」という意味でしょうか。
 「国を守るために必要な措置かどうか」を最優先とすべきと言っています。

磯崎氏の発言の真意

 最後の部分は非常に重要で真意が表れています。

 「我が国を守るために必要なことを、日本国憲法が
  ダメだと言うことはありえない」

 憲法、憲法と大騒ぎですが、そもそも憲法とは国民のためのものです。
 憲法に、国民に不利益な内容が書かれているなどありえないのです。
 逆説的に、国を守るのに必要なことは憲法は否定しないのです。

 「法的安定性」を軽視したのではなく、もっと広い視点で見ろよと。
 憲法を金科玉条のごとく守る以前に、国民の利益を守るべきだろうと。
 それは憲法の目的と一緒なんだから、憲法が否定するわけないんだよと。

 文言ひとつひとつの解釈を議論するのでなく、国民の利益という大きな
守るべきものを守るための法案になっているかを議論すべき、ということです。

 憲法を原理主義的に守ることで国民の利益が損なわれたら意味がありません。

問題は何なのか?

 真意を汲み取ると、何ら間違っていないように思います。
 もちろん、憲法学者や何でも反対の野党は反発するでしょうけれど。

 しかし与党内からも批判が出ているというのはなぜでしょう。
 菅官房長官のコメントがその答えでしょう。

 「誤解される発言は慎むべきだ。」

 結局、わかりづらいのです。
 そのわかりづらさを利用されて、マスコミにはブツ切りで報道されました。
 野党は真意を敢えて曲解して責め立てています。(常套手段です)

 そういう「隙を与えた」ことが一番の問題だということでしょう。
 だから「辞任の必要なし」で注意くらいで済まそうということでしょう。

 いつまで経っても本質的な議論にならない安保法制。
 推進派も反対派も、日本を戦争に巻き込まないためにやっているわけです。
 「どっちが戦争に巻き込まれないか」を早く議論して欲しいです。

 「戦争法案」なんてレッテル貼ってるようでは、先が思いやられます。

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