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東京五輪は国産食材が調達できない?TPPまでつながるGAPの話 

time 2015/07/28

東京五輪は国産食材が調達できない?TPPまでつながるGAPの話 

 2020年の東京五輪で国産食材が出せない可能性が高まっています。
 オリンピックの舞台で地産地消ができない事態になるかも知れません。
 
 東京五輪組織委員会は、選手村の食堂を「和食をアピールする場」と位置づけ
ており、国産食材をできるだけ利用したい考えです。
 しかし、ロンドン五輪の食材は「国際認証」を受けたものでした。
 この衛生管理などの認証を受けた食材の使用という流れが登場しています。

 国産食材が使えないとなれば、国際認証を受けた外国産を使うのでしょうか?

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ロンドン五輪で採用された「グローバルGAP」

 日本の食材が外国産に比べて安全だというのは、日本人の価値観です。
 確かに衛生大国とも言われる日本の食材は広い意味では安全でしょう。
 しかし、個々の農園や農場レベルでは、どこが安全かは分かりません。

 ロンドン五輪では農産品の国際認証「グローバルGAP」が採用されました。
 東京五輪でも「グローバルGAP」は調達基準として有力視されています。

 ところが、日本で取得済の農場は196件です。(2014年6月末時)
 これでは400トンにもなるであろう選手村の食材を調達できません。

グローバルGAPってなに?

 食品安全規格を標準化するため欧州小売業組合が1997年に設立しました。
 最初は「ユーレップGAP」という名称でした。
 2005年以降、欧州小売業組合の加盟店では基準をクリアしていない食材は
店頭に並べないという方針を打ち出して、一気に普及しました。

 このモデルは欧州以外の国々でも導入され、世界基準になると考えられました。
 2007年に「グローバルGAP」に改名し、普及が進んでいます。
 ちなみに、本部はドイツにあります。

 GAPは適正農業規範(Good Agricultural Practices)と訳されます。
 現在は「農業生産工程管理」の訳が農林水産省では採用されています。

日本には安全規格はないのか?

 日本はこの件では出遅れています。
 97年以前の欧州のように、各小売店が独自規格を設け統一されていません。
 有名なのはイオンのトップバリュです。

 日本GAP協会がJGAP普及を目指していますが、統一には程遠いです。
 自治体の基準や、農協の基準や、様々なルールが乱立しています。

 もし、東京五輪でグローバルGAPが採用されるのであれば、
そのために国内業者がこぞってグローバルGAPの認証を受けるのであれば、
国内規格は全部なくなってグローバルGAPで統一されるかも知れません。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)との関連は?

 東京五輪の食材問題を見て、TPPが思い浮かんだ方も多いでしょう。
 TPP参加で農産物が自由化されれば、似た問題が起きます。

 日本の農産物は高級ブランドとして輸出されると賛成派は説きます。
 しかし、グローバルGAPの認証を受けていない農産物は、欧州では
店頭に並ぶことすらできないのです。

 日本の基準や認証の多くは、付加価値を付けるだけのものです。
 つまり、シールが貼ってあって特別感を出しているということです。
 厳しい基準と監査があって、本来の認証の価値があります。

 日本の農産物をブランド化するなら、グローバルGAPは必須です。
 あるいは、それに並ぶ国際規格をクリアする必要があります。

東京五輪が日本のGAPを決める?

 東京五輪はきっかけとして十分なイベントです。
 ロンドン五輪では農産物は330トン、水産物は80トンが使われました。

 もし、国産食材で五輪の食堂を満たすのであれば、この規模の食材を集める
ことができるだけの農場が認可を受ける必要があるわけです。

 つまり、東京五輪の食材問題は、実はTPP参加の前準備となるのです。

 ここでグローバルGAPを採用すれば、将来の日本はグローバルGAPを
武器に世界の農産物と戦うことになるでしょう。
 他のGAPを採用するのであれば、それが将来の日本のGAPになります。

 こんな重要な決定が東京五輪組織委員会によって成されるのでしょうか。
 有識者が絡むにしても、実に大きな話です。

 この問題、注目しておいた方が良いかも知れません。

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コメント

  • That’s an expert answer to an intseerting question

    by Clara €2016年6月19日 17:56

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