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中国上海市場で大幅下落 予定通りの下落?予想外の下落幅?

time 2015/07/08

中国上海市場で大幅下落 予定通りの下落?予想外の下落幅?

 中国の株式市場で株価の下落が止まらない状態になっています。
 上海市場では約1ヵ月で35%以上が下落しました。
 売買を当面停止する企業は増え続け、1000社を超える企業が取引を停止。
 申請中も含めると1400社で全体の半数を超える事態になっています。

 このニュースを以て「中国経済の崩壊」と言うのは尚早です。
 なぜなら、上海市場の下落は予定通りのことだからです。
 そこには中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)も絡んだ、
中国の国家戦略があります。

 経済ニュースは非常に難しいですが、酒の席で語れるくらいに解説します。

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中国の最終目標は人民元の基軸通貨化

 世界には基軸通貨というものがあります。
 基軸通貨に明確な定義はありませんが、IMFの通貨SDRである、
「ドル・ユーロ・ポンド・円」が一般的に基軸通貨と呼ばれています。
 基軸通貨は国際的な決済や取引に使うことができます。

 中国は自国通貨である人民元を基軸通貨にしようとしています。

 しかし、人民元をSDRにするためには条件があります。
 ひとつは取引量、もうひとつは国際通貨として相応しいか。
 これらがIMF総会で認められれば、SDRのひとつに加われるのです。

 既に2010年のIMF総会で人民元のSDR採用が提起されています。
 このときはアメリカの反対で成立しませんでした。

 人民元の流通量に問題はありません。
 国際通貨に相応しいかという点が問題になったのです。

 ちなみに、次のIMF総会は今年の10月に開かれます。

人民元のSDR採用のために

 国際通貨として相応しいと認めてもらうための方法はいくつかります。
 中国はそのための方策を本格的に実施しています。

 そのひとつは人民元建ての国債を海外で発行することです。
 日本で最近発行された「フジヤマ債」がそれに辺ります。
 韓国やシンガポール、ヨーロッパのルクセンブルクなども扱っています。
 人民元の国際化のひとつです。

 また日韓で話題になった通貨スワップも拡大を続けています。
 中国は23ヶ国と通貨スワップを締結しています。

 この流れの最大のものはAIIBの設立になります。
 人民元で資金提供できれば国際化を進めることができます。 

国際化に必須の金融市場の自由化が上海市場を下落させる

 中国は資本主義国ではありませんので、金融市場には多くの規制があります。
 しかし、国際通貨として相応しい体裁にするためには、自由化が必要です。
 ところが、この金融自由化が上海市場にはマイナスの要素となるのです。

 中国では預金と貸出の金利差に規制が設けられており、段階的に緩和しています。
 これが完全に自由化すると、金利差は縮まって銀行の収益を圧迫します。
 そして上海市場は銀行の利益が、全体の利益の6割を占めているのです。

 基軸通貨を目指せば上海市場が下落することは予定通りです。
 どちらを選択するかで、中国は基軸通貨化を選択したということです。

 ただ、下落幅まで予定通りだったかはわかりません。
 中国の対応を見ていると、予定通りだったとは思えません。
 中央銀行の金融緩和、大手証券21社による買い支え。
 その額は2兆4000億円です。

そもそもなぜ基軸通貨を目指すのか?

 中国は人民元を基軸通貨にするために痛手を受けています。
 国内の不満が増して政府批判に発展すれば国が傾く可能性もあります。
 上海市場の下落がさらに悪化し、経済が暗転すれば目も当てられません。

 しかし、基軸通貨にしたい理由は覇権主義と断じるのは安直です。
 それだけリーマンショックは中国にとって大事件だったのでしょう。

 中国の米ドルによる外貨準備は現在は4兆ドルです。
 再びリーマンショックのような米ドルの暴落が起これば死活問題です。
 それを回避するためには人民元を基軸通貨とすることあり、防衛手段なのです。
 極論すれば貿易赤字を自国通貨を刷ることで緩和することもできるのです。

 

 中国の思惑通りに市場をコントロールし基軸通貨にできるのでしょうか。
 これがきっかけで世界金融不安にならないように願いたいです。

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