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世界遺産で強制労働? 日本の主張、韓国の主張

time 2015/07/08

世界遺産で強制労働? 日本の主張、韓国の主張

 「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録されました。
 しかし、韓国が「朝鮮半島から強制徴用していた」として反対し、
審議は翌日に先送りになった上、「ギリギリの調整」の末に決定。

 ところが登録決定後も場外乱闘は治まりません。

 日本代表は「意思に反して連れてこられた」ことを認める発言。
 これを韓国では「強制労働を認めた」と報道。
 日本は「強制労働を意味するものではない」と反論。
 ネットでは「第2の慰安婦問題だ」と批判が殺到。

 ここは冷静に日本外交の意図を読み解くべきです。

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明治日本の産業革命遺産の一部で朝鮮出身の徴用工がいたのは事実

 まずは、実際に朝鮮人が働いていたかという点。
 この点は事実です。
 日本も認めていますし、記録にも残っています。

 問題はそれが「強制労働」であったかどうかです。

「forced to work」は「強制労働」か?

 厳しい環境の下で働かされた(forced to work under harsh conditions)
 この「forced to work」が強制労働を意味するかが注目されています。

 「forced」は強制するという意味ですし、「work」は労働です。
 しかし、岸田外相は「強制労働を意味するものではない」としています。

 この意図は、「強制労働」はただの言葉ではないことを指しています。

重要なのは強制労働の違法性

 強制労働の違法性とは、ILO (国際労働機関)の条約違反を指します。
 Forced Labour Convention (強制労働条約)を日本は1932年に批准しています。
 争点になっているのは1940年代ですから批准後になります。

 つまり、強制労働条約に違反していれば、強制労働は違法です。
 しかし、強制労働条約に違反していなければ、違法ではありません。
 つまりは、日本に非がないということです。

 強制労働条約では、「兵役、裁判結果による労務、戦時または災害時」は
強制労働の範囲に含まないとしています。
 それが、日本の主張する「戦時徴用」です。

「英語が正本だと述べ、韓日間の協議も英文で行われた」

 これは韓国外交部の当局者の発言として報じられたものです。
 「強制労働」の文字列を日本語やハングルで扱っても意味がありません。
 英語が正本だということです。

 その英語ですが、強制労働条約では強制労働を表す英語として、
「forced labor」を用いています。
 つまり、日本政府は「forced to work」は「forced labor」を意味しない、
と主張しているわけです。

 対して韓国は「意志に反して働かされたなら、誰がどう見ても強制労働だ」
と主張しているわけです。

理論の日本、感情の韓国、玉虫色の決着

 日本の主張は説明不足ではありますが、論理的でわかりやすいです。
 もし違法性のある強制労働を意味するなら、強制労働条約で用いられている
「forced labor」を使って記述すべきです。

 異なる言葉で表現されたなら、意味も異なると読むべきです。
 敢えて、異なる言葉を用いたわけですから。
 この点は日本外交の勝利した点ではないかと思います。

 対して、韓国はいつもの感情論です。
 「誰がどう見ても」というのは個人の主観であって、絶対的ではありません。
 これを絶対的に強制労働を意味させるなら「forced labor」を使うべきでした。

 また、「意思に反して働かされた」については、日本は否定しません。
 先述の通り、戦時徴用は合法で認められていました。
 合法なのですから、責められる謂われはないのです。

 ところがこのロジック、何かに似ていると思いませんか?
 慰安婦問題に似ているのです。

第2の慰安婦問題になってしまうのか?

 慰安婦問題でも争点の曖昧さで韓国が有利に進めていました。
 「強制的に連れてかれた女子を慰安婦とした」という韓国の主張。
 「業者が」強制的に連れていったので、間違いではありません。

 しかし、言葉がひとり歩きして「日本軍が」強制的に連れていったと、
間違った解釈をして良く知らない外国人が騒ぐのです。
 間違いを指摘すれば「事実上、軍の関与は間違いない」となります。
 事実上というのは法的証拠がないという意味です。

 今回の件も、「事実上、認めた」とネットでは大騒ぎです。
 「戦時徴用」は認めているけれど、違法性のある「強制労働」は認めて
いないというのが、今回の重要なポイントです。

 日本政府はもっと、国内外に発信すべきです。
 そうしないと、また韓国の論理性のない感情論に押されます。
 「合法の強制労働」と言っても、理解できない人は多いでしょう。

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